Blu-ray Audio:Friedrich Gulda, Joe Zawinul「Music For Two Pianos」
Blu-ray Audio:Friedrich Gulda, Joe Zawinul「Music For Two Pianos」
Delta Music & Entertainment GmbH & Co. KG 2013年(1988年5月20~21日ライブ録音、2005年リミックス)
Blu-ray Audio、ステレオ2チャンネルPCM 96kHz/24bit、5.1チャンネルDTS-HD Master Audio 96kHz/24bit
2018年7月にamazon.co.jpで購入。2608円
懐かしさ | ★★★ |
楽曲 | ★★★ |
演奏 | ★★★ |
録音 | ★★★ |
購入満足度 | ★★★★★ |
私にとっては、至福の1枚。Joe Zawinulは初期のアルバム「The Beginning」ではアコースティックピアノを演奏しているが、Miles DavisのグループやWeather Report以降でエレクトリック・ピアノ(Rhodes、CP)やシンセサイザーを演奏するようになってからは、アコースティックピアノを人前であまり弾いていない。チック・コリアやハービー・ハンコックはアコースティックピアノをけっこう弾いているので、ザビヌルにはやはり、何かしらの考えがあったのだろうと思う。
そんなザビヌルも、同郷、少し年上のグルダとデュオ、ということになったなら、普段のこだわりを捨てていいかな、と思ったのではなかろうか。ソロではないが、ザビヌルのアコースティックピアノを堪能できるという点で、このディスクは、ザビヌルファンにとっては、とても価値があるものだと思う。
トラック数はわずかに3つ。ハイドンの曲をブラームスが編曲した1曲目は、クラシックなんだけれど、でも、型にはまらないというか、自由奔放というか、円熟の境地に入りつつある二人が、楽しく、美しい世界を現出させている。私はこれまで2台ピアノをあまり良いと思ったことがないのだが、これはすごい。認識を改めた。
2曲目はグルダの作品で、ビッグバンドも加えている。ザビヌルの名盤「Brown Street」の先駆けと言えそうな演奏だ。グルダの、「いや、俺、ジャズもやりたかったんだよ」という笑顔が目に浮かぶ。
3曲目はWeather Reportの、2枚目の「Weather Report」の冒頭に収められている「Volcano for Hire」をピアノデュオで披露している。4分程度とあまり長くないのが少し残念だが、何をやっているのかわからない、というポイントから、ザビヌル節全開のメロディっぽくないVolcano for Hireのメロディが現れてくる瞬間は、Weather Reportファンとしては、幸せというしかない。
このアルバムは、私にとっては、懐かしさもあるが、でも、新しさと驚きもあり、懐かしさは3つ星である。楽曲は、いいとも悪いとも言えない。演奏は、珍しい演奏なので比較しようがない。
録音は、悪くはないと思う。5.1チャンネルと2チャンネルで印象が違うので、可能であれば、両方聴いてみることをお勧めする。5.1チャンネルは、不思議な広がりとまとまりがあり、悪く言えば、聴き慣れない音像である。2チャンネルの平板な音像の方が、パワフルだと感じさせる。どちらにせよ、悪い音ではない。
ザビヌルが演奏しているSACDは、Weather Reportの3枚があって(「Heavy Weather」と「Tale Spinin」は持っているが「Black Market」は持っていない、これらはいずれもステレオのみ)、あと、Milesのものがいくつかあるのかな、と思う。BD Audioは、今のところ、今回紹介した1枚しか知らない。サラウンドはこの1枚しか知らない。
ザビヌルのファンは必聴。グルダのファンは、どうなんだろうか。私はこのディスクで初めてグルダの演奏を聴いたので、ちゃんとした意見は持てない。
ジャンルとしては、クラシックとジャズの境界にあるディスクなので、クラシックファンまたはジャズファンに受けるかというと、よくわからない。
そんなわけで、だれにもオススメとは言いにくいディスクである。しかし、私としては、購入満足度5つ星。いや、いいもん買った。入手できてよかった。
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