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Eiko Yamashita

2020年8月14日 (金)

SACD: Eiko Yamashita「Contemporary Piano Music From Japan」

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SACD: Eiko Yamashita「Contemporary Piano Music From Japan」
M.A.T. Music Theme Licensing GMBH たぶん2008年 Order No: 231824 ISBN 978-3-86735-478-3
SACD/CDハイブリッド、サラウンド5.1チャンネル、ステレオ2チャンネル
2020年8月にヤフオク!で購入、990円

懐かしさ ★★★
楽曲 ★★★★
演奏 ★★★★★
録音 ★★★★★
購入満足度 ★★★★★

映画、ゲーム、テレビドラマなどで使われた曲は、映像などと共に音楽が受容され、頭に強く焼き付く。ここで問題なのは、その曲を聴いた際に、元ネタを知っている人の心には強く訴えかけ、知らない人の心にはあまり響かないケースがあることだ。まあ、どんな音楽のコンサートでも、知っている曲を演奏してくれるとすっと頭に入ってくるというのはあるし、あらかじめ予習してからコンサートに行くなんてこともあるので、聴く側の状況によって音楽が響いたり、響かなかったりするのは、ある程度はやむをえない。

久石譲の音楽は、ジブリ映画で広く浸透したのだが、映画音楽が音楽単体で生き残る稀なケースになろうとしているのではないか、という気がする。少年少女が参加するピアノ教室の発表会に行くと、久石譲の曲が弾かれることが多い。彼の曲は、メロディと和声だけで、その曲を知らない人の心にも訴えかける力がある。

今回紹介するディスクは、Yamashita, Eikoという女性ピアニストが、久石譲の10曲と西村由紀江の3曲をピアノで弾いたものだ。彼女は京都で生まれ、「Tokyo's National University」(東京藝術大学だろう)を卒業し、奨学金を得てドイツに留学した。ドイツのハンブルク在住。このディスクには、47ページのブックレットが付くのだが、日本の写真が多く、基本的な情報が掲載されていない。年を伴うコピーライト表記さえない。どこで録音したのか、録音技師は誰だったのか、そんなこともわからない。もうちょっと何とかならなかったろうか。

写真は悪くないのだが、印刷の品質が良くない。写真の良さがそこなわれている。まあ、海外の印刷物の品質って、こういうものが多いのだけれど。

こういうディスクを作れるのは、さすがヨーロッパであると思う。日本のレコード制作業界には、作れないんだろうなぁ。

久石譲の音楽は好きで、それがSACD等のハイレゾ音源で聴けるなら、なるべく逃したくないと思う。ただ、久石譲自身が出した音源でSACD等になっているものは、私の知っている限りでは、ない。久石自身のものでないものでは、以前取り上げた「チェコ・フィル・プレイズ スタジオジブリ交響曲集」があるけれども、ステレオ2チャンネルであることが惜しまれる。

「Contemporary Piano Music From Japan」をプレーヤーに入れ、サラウンド5.1チャンネルで音を出し、1曲目「アシタカとサン」の数秒を聴いただけで、あー、やられたー、という感じがした。久石譲の曲を、やっとサラウンドで聴けた。うっとりである。

さほど大きくない制作会社が、来歴と腕は確かだけれど知名度が最高とは言えないピアニストを起用し、久石譲と西村由紀江の技術的にはさほど難しくない曲を並べて、それで、この素晴らしいディスクをリリースした。さすがヨーロッパ、さすがドイツ。クラシックの録音をする行為の深さ、広さにおいて、日本はまだ及ばないのだろう。

曲目を日本語ではない状態で見ても、今一つピンと来ないのだが、久石譲の曲の中には、映画「もののけ姫」の「アシタカとサン」、「千と千尋の神隠し」の「あの夏へ」、「天空の城ラピュタ」の「君をのせて」、「となりのトトロ」の「風の通り道」、「風の谷のナウシカ」の「ファンタジア」が含まれている。一番おいしいところは、ほぼカバーされているように思う。久石譲の他の曲も良い。

西村由紀江という人はあまり知らなかったのだが、mellowであるという点において、西村由紀恵は久石譲に勝るとも劣らない。mellowな音楽が好きな私にとっては、新たな発見であった。

久石譲の曲は、久石譲自身の演奏で、CDで聴くことはけっこうできる。ただ、ピアノ曲としては、他の人が弾いて、やっと本物であるという気もする。客観的な視点、尊敬、譜面の正しさなどが盛り込まれるからだ。Yamashitaによる演奏は申し分ない。望郷の念がプラスされ、さらに輝きを増しているとも思う。

5.1チャンネルの再生環境がある方は、SACDを入手して聴いてみていただきたい。amazon.co.jpではストリーミングやMP3でも聴けるようだが、それで聴くのはもったいない気がする。

H2

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