SACD: Tony Williams Trio「Young At Heart」
SACD: Tony Williams Trio「Young At Heart」
Sony Music Entertainment (Japan) Inc. 1996年 SRGS 4516
ステレオ2チャンネル
2020年7月にヤフオク!で購入、1500円
懐かしさ | ★ |
楽曲 | ★★★ |
演奏 | ★★★ |
録音 | ★★★★ |
購入満足度 | ★★★ |
トニー・ウィリアムスは若い時からマイルスの楽団で活躍した天才ドラマーだ。「Young At Heart」は、トニーが遺した唯一のピアノ・トリオ作品で、また、遺作でもある。11曲、1時間9分におよぶ演奏を披露しており、ピアノ・トリオの音楽を堪能できる。
Paul Migiloratoは解説で「this is Sony's first use of its Direct Stream Digital recording technology」と書いている。レコーディングスタジオの白黒写真が掲載されており、パッチベイの手前に量産品とは思えない録音機とノートパソコンが写っている。ミックスについてのクレジットがないので、2チャンネル1発録りだったろうと推測する。
岩浪洋三は解説で「録音のよさも手伝って、演奏のすばらしさが一段と輝きを増している。これが<MASTER SOUND>(DSD:ダイレクト・ストリーム・デジタル/SBM/PDLS/ULTレーザー・カッティング・システム)のよさなのであろうか」と書いている。1996年に発売されたのはCDで、DSD録音しても、その良さをストレートに商品化することはできなかった。
今私が聴いているのは、1999年に発売されたSACDだ。「DSD Recording」のロゴが誇らしげに示され、「このSACDは、オリジナルからすべてDSD方式で録音されています。100kHz迄もの広い周波数範囲の音をお楽しみ頂けます」と記されている。
このところ、SACDを聴いて、うわー、デジタルマルチトラックレコーダーの音がCDみたいだ、と思うことが何回かあったのだが、この「Young At Heart」はそういうことがない。さすがDSDレコーディングである。一発録りであるせいかバランスは細かく追い込めておらず、心なしかドラムの音量が控えめであるが、まあ、主役が前面に出てくる必要もないので、これはこれでよい。
曲も演奏も、図抜けたものではないが、それでも、ピアノ・トリオの最良のものの一つだと思う。こういうディスクが、日本で作られたことを誇りとしたい。入手できそうなら、ぜひお聴きいただきたい。
H2