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渡辺貞夫

2020年3月 8日 (日)

SACD: The Great Jazz Trio「Stella by Starlight」

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SACD: The Great Jazz Trio「Stella by Starlight」
Village Music, Inc. 2006年 VRCL 18835
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル
2020年2月にヤフオク!で購入、1680円+送料190円

懐かしさ ★★
楽曲 ★★★
演奏 ★★★★
録音 ★★★★
購入満足度 ★★★★

このディスクには渡辺貞夫がゲスト参加しており、トラック2、3、6、8の4曲で渡辺貞夫のサックスを聞ける。渡辺貞夫の演奏が収録されているSACDはそんなに多くないので、機会があれば買おう。

ハンク・ジョーンズの演奏が入ったSACDを買うのは、これが3枚目である(たぶん)。以前の2枚はほとんど聞いていない。テスト再生をして、うーん、と思って棚に入れた、のだと思う。名前は以前から知っていたが、真剣に聞いたのは最近のことで、どことなくなじめないものを感じたのだった。でも、ちょっと聞いてなじめなかったからといって、ずっとそうであるとは限らないので、すぐに手放したりはしない。

渡辺貞夫は期待通りだった。自室でライブハウスのいい席に来た感じを味わえる。渡辺貞夫が出てくる曲を楽しみに再生するのだが、次第に、その間の、渡辺貞夫がいないトラックも、耳になじみ始めた。

私にとってありがたかったのは、ドラムがオマー・ハキムであることだった。高校時代にWeather Reportを好きになった私は、上京して新宿厚生年金会館で行われたWeather Reportのライブに行った。Processionが出て、Domino Theoryはまだ出ていなかった時だと思う。ジャコとアースキンの時代はもちろんWeather Reportの黄金期であると思うけれど、オマー・ハキムとビクター・ベイリーになったことで、ひどく失望したかというとそうでもない。ジャコとアースキンの時代のWeather Reportは、8:30、Night Passage、Weather Report(2枚目)でほぼやるべきことをやり尽くしたと思っていたからだ。ジャコはビッグバンドで名を馳せることになり、そこにアースキンも参加していた。Weather Reportが、新しい展開に出ることを期待していたし、その重要な要素がオマー・ハキムとビクター・ベイリーだった。

オマー・ハキムが参加して以降のWeather Reportは、レコードが出るたびに購入した。よく聞いた。Smappies IIもよく聞いた。そんなわけで、このStella by Starlightでオマー・ハキムが演奏していて、そこを聴いた。あー、オマーも大人になったなー、こういう落ち着いたプレイができるんだなー、でも、ところどころに彼らしい茶目っ気があるぞ、と聴いたら面白くなってきた。歌もいいし。

ピアノトリオというと、どうしてもピアノが主役でベースとドラムスが脇役と思ってしまうが、ベースとドラムスに耳を傾けると、また違った聴き方ができる。ハンク・ジョーンズが、自分よりは若い二人を十分に活躍させようとしていると考えると、なかなかいい演奏と思える。心なしか、ピアノの音量が、ごくわずかに小さい気もする。

そんなわけで、渡辺貞夫とオマー・ハキムに導かれて、ハンク・ジョーンズとジョン・パティトゥッチに目覚めた1枚であった。

渡辺貞夫が好きで、SACDが好きな人は、ぜひ。

H2

2020年3月 7日 (土)

SACD: 渡辺貞夫(Sadao Watanabe)「Paysages」

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SACD: 渡辺貞夫(Sadao Watanabe)「Paysages」
Sony Music Japan International, Inc. 1971年(2007年DSDマスタリング) SICP 10040
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル
2020年3月にヤフオク!で購入、2790円+送料190円、ただしそこからクーポン等で534円引き

懐かしさ ★★★
楽曲 ★★★
演奏 ★★★★
録音 ★★★★★
購入満足度 ★★★★

渡辺貞夫のサックスの音は、天が与えた素晴らしいものであると思う。The Great Jazz Trioの「Stella by Starlight」を購入して聴き、渡辺貞夫をSACDで聞ける機会はなるべくつかもうと思った。Paysagesがそこそこの価格で出品されており、クーポンもうまい具合に手に入ったので購入した。

PaysagesをSACDプレーヤーにかけて再生して驚いたのは、音がいいことである。1971年にCBSソニー第1スタジオで録音したと書かれている。当時の日本のレコーディングスタジオはこれほどの音を録っていたのか、と感心する。アナログテープっぽい高域の雑音がまったくないとは言わないが、問題になる大きさではない。

アナログレコードでは、ここまでは聞けなかったかも、と思う。コンパクトディスク(CD)でも聞けなかったろう。昔のテープのSACD化の意義を教えてくれるディスクである。

音楽の内容について少し。

1971年というと、Weather Reportのデビュー作「Weather Report」と同じ年である。Paysagesの音はWeather Reportのデビュー作に似ている。編成も似ている。どちらが優れているということではない。当時の最先端の音が、こういうものであったということだ。

菊地雅章のピアノ(アコピ、エレピ)は決して悪くない。ただ、エレピの音をエフェクターで激しく改変したり、オーバーダビングをしたり、短いフレーズの反復をしたりして、さらにそれらを活かす曲を作ったザビヌルに比べると、Paysagesにおける菊池の音が普通である印象はいなめない。Weather Reportというアルバムがこれまで聴いたことがない世界であったのに比べ、Paysagesはオーソドックスに聞こえる。それが、良さでもあり、悪さでもある。

写真の中で、富樫雅彦は車椅子に座っている。下半身が不自由になってから最初のレコーディングが、このアルバムであったのではなかろうか。クレジットでは富樫雅彦と村上寛が両方ともドラムスになっているが、富樫はパーカッション的な演奏になっている。写真を見ると、渡辺貞夫は煙草を吸っているし、白い石が敷き詰められた円形の丸い灰皿がスタジオにある。今では、これは許されないかもなぁ、と思う。

このディスクは現在は入手が容易ではない。プレミア価格を支払って入手する価値があるかというと、それは個々でご判断いただくしかない。こういう素敵なディスクが継続的に販売されていないことが、残念である。

H2

 

2019年1月26日 (土)

CD: 佐藤允彦(Masahiko Satoh)、渡辺貞夫(Sadao Watanabe)、日野皓正(Terumasa Hino)、峰厚介(Kosuke Mine)、山下洋輔(Yosuke Yamashita)「マイ・ワンダフル・ライフ 富樫雅彦バラード・コレクション(My Wonderful Life - Masahiko Togashi Ballad Collection)」

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CD: 佐藤允彦(Masahiko Satoh)、渡辺貞夫(Sadao Watanabe)、日野皓正(Terumasa Hino)、峰厚介(Kosuke Mine)、山下洋輔(Yosuke Yamashita)「マイ・ワンダフル・ライフ 富樫雅彦バラード・コレクション(My Wonderful Life - Masahiko Togashi Ballad Collection)」
ラッツパック・レコード(Ratspack Record) 2009年 RPES-4856
CD、ステレオ2チャンネル
2019年1月にamazon.co.jpで購入、2482円

懐かしさ ★★★
楽曲 ★★★★
演奏 ★★★★
録音 ★★★
購入満足度 ★★★

当ブログは「ハイレゾでいこう!」であり、ハイレゾとは何かというと、通常の44.1kHz、16ビットリニアPCMのCDよりも、何かしら解像度が高いもの、であるからして、CDはハイレゾではないと思うのだが、ここしばらく佐藤允彦の富樫雅彦シリーズを取り上げてきたわけで、そのシリーズの最後にあたるこのディスクを、買わないわけにはいかないし、書かないわけにはいかない。

音質は、CDとしては悪くないものだと思う。でも、SACDの「佐藤允彦プレイズ富樫雅彦」の3枚と比べると、劣る。管楽器とのデュオになると管楽器にはある程度のリバーブが必要でピアノをそれに合わせて音が変わった、という面もあるかとは思うが、でもやっぱり、CDの限界も感じる。高域が、22kHzまではいっぱい入れてあるんだけど、それより上が嘘くさく、自然な太さがない。

世の中全部SACDに統一すればよかったのに、と思う。それがオーバースペックで高コストであろうとも、だ。

渡辺貞夫は美しい。日野皓正はがんばっている。峰厚介は思い出を表現しているように感じる。佐藤允彦は、基本的には引き立て役を務めていて、ちょっぴり歯がゆさを感じさせる。もちろん、ミュージシャンが増えてバリエーションが増えて、それはそれで聞く側としては嬉しいのだが、でも、悲嘆のストレートな表現としては、佐藤のソロ(トラック4、8、12)がぐっとくる。

最後のトラック14は山下洋輔のソロで、ライブ録音。2004年録音なので、これだけは、追悼ではなく、生きている富樫を思いながらの演奏である。でも、思いは佐藤と似たりよったりであるのか、違和感がない。ここしばらく佐藤の演奏ばかり聞いてきたので、新鮮である。

ピアノは、とても弱い音を出せる楽器で、悲嘆の表現に向く。管楽器は、どうしても、ある程度息を吹き込まないと音が出なくて、極端な弱音は出ない。ピアノを始めとする鍵盤楽器、悪くないなぁ、と思った。

このシリーズは、あまりにスイートでセンチメンタルに過ぎる、という意見はあるだろう。でも、私はスイートでセンチメンタルな音楽が好きなので、ぐっと来た。日本のジャズが到達した高みであると思う。

H2

 

2019年1月15日 (火)

SACD: 渡辺貞夫(Sadao Watanabe)「Orange Express」

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SACD: 渡辺貞夫(Sadao Watanabe)「Orange Express」
Sony Music Entertainment(Japan) Inc. SRGS 4545 1981年
SACD、ステレオ2チャンネル
2015年6月にamazon.co.jpで購入、2952円

懐かしさ ★★★★★
楽曲 ★★★
演奏 ★★★★
録音 ★★
購入満足度 ★★★★

SACDを買い始めてすぐに新品で購入した何枚かのうちの一つ。懐かしくて懐かしくて、でも、レコードまたはCDを買ったことはなく、おそらく、貸しレコード店で借りてきてテープに録音したのだろうと思う。何回か借りてきたかもしれない。1981年、私は高校1年生であった。高校に入る前の春休み、入ることが決まっていた高校の吹奏楽部の演奏会に行き、バンドが渡辺貞夫のSUN DANCEをやっていたのにしびれ、入学したら俺もバンドをやるんだ、と思っていた。それが1981年である。

ディスクの説明文を見ると、1981年の4月、5月にニューヨークで録音した、と書いてある。この時期の渡辺貞夫はカリフォルニアの音と評されることが多いけれど、録音はニューヨークだったのね、と思う。

高校に入学し、吹奏楽部に入部し、中学時代にやっていたトランペットの志望者が多く、フレンチホルンが少なかったのでそちらに転向した。他の3人はみんな高いトランペットを買うと豪語していたが、私としては、そんな金があったらシンセ欲しいし、ということでホルンに転向したのだった。高校2年になり、バンドやるじゃん、ということで、東京にコルグのポリシックスの中古を買いに行ったのだが、雑誌広告に出ていたそんな在庫が残っているはずもなく、結局買ったのは中古のヤマハCS40Mで、それをこだま号とタクシーで持ち帰った。CS40Mを弾いてバンドを作り、演奏会では、黒いオルフェ、Orange Express、Birdlandの3曲を演奏した(もちろん、吹奏楽部全体としてはもっと多くの曲を演奏した)。本番はとんでもない失敗をして、一生残る恥となったが、まあ、それはよかろう。

Orange Expressの楽譜を買った。渡辺貞夫の「Jazz Study」という本も買った。

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あれから35年ほどを経過して、今でも持っているのだからすごい。Orange Expressの楽譜は2000円、Jazz Studyは3000円である。当時の私の小遣いは月5000円であったから、それが吹っ飛ぶ金額だ。Orange Expressの楽譜は、ほとんどの部分が「以下同様」と書いてあるし、アドリブは採譜しておらず、そのまま使えた(と言っても1音ずつ確認が必要だったが)のはホーンセクションくらいである。それでも、コードがちゃんとわかるだけでもありがたかった。勉強になった。Jazz Studyの方は、まったく理解できなかった…。

大学受験を控え、1日中家で勉強していると息が詰まるので、高校へ行って空いている教室で勉強していたら、フルートが「Call Me」を吹いているのが聞こえた。私がひそかに憧れていたNさんであった。やれやれ。

大学に入って誘われた入ったバンドでは、Straight To The Topをコピーした。スクエア編成の5人でやるのだが、私以外の4人は自分のパートを弾いてよしとしており、それ以外のすき間は、すべてキーボードが埋める必要があった。できるわけがない。でも、仕方がない。それがキーボード奏者というものである。リチャードティーのピアノソロだって、私には、内容がまったくわからなかったので、自分が弾けるようなものをでっち上げた。できんもんはできんのじゃぁ、と言うしかない。

そうそう、大学入った1984年には、ナベサダの武道館ライブも行ったっけ。確かリチャード・ティーも来てた。ベースはウイル・リーだった。

と、以上のような経験があるため、渡辺貞夫の「Orange Express」というアルバムを冷静に評論することなど、私にできようはずもない。

渡辺貞夫という人は、日本で頂点を極めたころというのは私はよく知らず、私が知っているナベサダは、世界で活躍するナベサダであった。ジャズの世界で、日本を出て活躍した人は、他には秋吉敏子がいたと思うが、圧倒的にポップだったのはナベサダであったと思う。ジャズが袋小路に入りかかり、その一つの出口としてエレクトリックなフュージョンがあり、そこにはアフリカのエスニックな風味も加えられたわけだが、その王道を行っていたのがナベサダであった。Orange Expressはデイブ・グルーシンとのコンビの最後の作品となるが、まさにここには、ナベサダwithデイブ・グルーシンの完成形があると思う。

参加ミュージシャンも豪華で、マーカス・ミラー、リチャード・ティー、エリック・ゲイル、ジョージ・ベンソンとかはまさに大御所である。日本人のナベサダが、本場米国のトップ・ミュージシャンと共にリーダー作を作り、出てくるサウンドは、やはりナベサダならではの歌心満載であるのだから、日本の高校生である私が憧れないはずはない。

デイブ・グルーシンとのコンビはOrange Expressで終わり、次からはラルフ・マクドナルドと組むことになる。そのサウンドも、私は決して嫌いではない。ナベサダについては、近年の音も素晴らしいが、それらはSACDでは出ていないと思う。

Orange ExpressのSACDだが、音が良いとは言いにくい。2チャンネルマスターテープから起こしたのだと思うが、そのマスターに入っていた音が、それほど良くなかったのだろう。ちなみに、How's Everythingはもっとひどい。でも、Orange Expressが1981年録音であることを考えると、もっといい音だったはずだ、とも言いにくい。CDよりはいい音なのかも、という程度であるが、それでも、SACD化してくれたことに感謝する。

ナベサダに出会えて、本当によかった。ありがとう。ぜひ、長生きしてください。

H2

2017年10月17日 (火)

SACD: 鈴木良雄(Yoshio Suzuki)「Moon and Breeze」

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SACD: 鈴木良雄(Yoshio Suzuki)「Moon and Breeze」
VIDEOARTS MUSIC, Inc. VACV-1047 2004年
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル
2017年10月にヤフオク!で購入。2800円

懐かしさ ★★★★★
楽曲 ★★★★
演奏 ★★★★
録音 ★★★
購入満足度 ★★★★

私は不勉強なことに鈴木良雄というベーシストをこれまで知らなかった。SACDを買おうかとネットサーフィンしているうちに、このディスクを見付けた。渡辺貞夫(ナベサダ)やアート・ブレイキーのバンドにいたという。ナベサダもこのアルバムで吹いているという。ナベサダを聴けるSACDはさほど多くない、高いけど買ってみるか、ということになった。

ジャケットを見て、モダンジャズだろうと想像していたのだが、そうではなかった。そもそも最初がシンセと三線(さんしん)で始まる。ちょっと進んだだけで、ナベサダのフュージョンじゃん、とわかった。

小川隆夫という人の解説文の中で、鈴木良雄は「サダオさんのバンドがぼくの原点だからね。あのバンドのディレクションが、いまのぼくの音楽にも共通している。何かっていうと“歌”なんだ。メロディを大事にしている。それがサダオさんとぼくの共通点かな」と語っている。

まさにその通り。美しい。

これがジャズかどうか。私は、これはジャズだと思う。アヘッドな姿勢、前進しようという姿勢が、目立たないけれど、ある。酸いも甘いも知り尽くした人が、試行錯誤しながらも、自分の信じるところを突き詰めようとしている。世の中で起こっていることを自分なりに咀嚼した上で、自分の音楽を示そうとしている。

昨日やっていたことと全く違うことはできないけれど、昨日と全く同じでもいられない。そういう歩みの蓄積が感じられる。また、この人たちは、自分がやってきたこと、やっていることに、飽きていない。それも大切なことだと思う。

ナベサダが吹いているのは「Wings」「Passionate Lady」の2曲。うっとりする。管楽器の音の美しさってのは、最後は天賦の才なんだよなあ。この2曲だけで、懐かしさ星5つ。他の人のフルートやリコーダーやサックスもかなりいいんだけど、ナベサダは、やはりナベサダである。泣ける。

ジャズは袋小路に入ってしまったと思う時もあるけれど、これは違う。「歌」が、一つの答かもしれない。ジャズでなければ歌えない歌。

緻密であることを感じさせずに、でも、緻密なんだよなー。いいジャズってのは。

いい音楽が好きな人は、ぜひ。

H2

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