SACD:橋本一子(Ichiko Hashimoto)「Ub-X」
SACD:橋本一子(Ichiko Hashimoto)「Ub-X」
ewe records EWSA 0115 (TGGS-81) 2006年
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル
2018年2月にヤフオク!で購入。1100円
懐かしさ | ★★★ |
楽曲 | ★★★ |
演奏 | ★★★ |
録音 | ★★★★ |
購入満足度 | ★★★★ |
YMOが人気であったころ、私はファンであった。ライブのサポートキーボーディストとして橋本一子を知り、ラジオで聞いたり、キーボードマガジンに記事が出ているのを読んだりしていた。自分のCD棚に橋本一子の作品があるはずだが、と探してみたら、1985年の「BEAUTY」があった。これも後で聴いてみてもいいかも。
Ub-Xはピアノトリオ+橋本一子のボーカルという編成だ。何と同類かというと、矢野顕子、アンジェラ・アキといった、ピアノの弾き語りに近い。ただ、Ub-Xの楽曲は、どれがテーマでどれがアドリブなのか判然としないし、メロディがどこにあるのか謎だし、歌詞というより、言葉であって、でも、何語なのかわからない、という、「ひつじのショーン」や「ピングー」みたいなところがあり、ウェイン・ショーターの「ジャズとは『ヘイ!お前にこんなことができるかい?』である」という定義に従えば、これは明らかにジャズである。
ピアノとボーカルは明らかに並立していて、そのどちらも強くは出てこず、ドラムとベースも似たような音量であり、混然となっている。
特筆すべきほど、音量が小さい。AVアンプのボリュームをかなり上げる必要がある。とはいうものの、フォルテになると下げなければいけないということはない。波形の純粋さを重視し、コンプレッサーやリミッターでつぶすことを良しとしない仕上げではないかと思う。音量を上げると、響きが美しい。SACDというフォーマットの良さが生きている。
橋本一子がメジャーになることはないと思う。でも、このマイナーさに価値がある。あー、そうか、こういうのもありだよね、と気付かせてくれる。長い時間にわたって行われた努力、多くの経験、蓄積された知識、研究による理解、自己の立ち位置の把握、いろんなものが、ミュージシャンとしてのお手本であると思う。
あれこれ考えなくても、きれい。
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