2021年11月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

冨田勲

2020年8月13日 (木)

SACD: 冨田勲(Isao Tomita)「ダフニスとクロエ(Daphnis et Chloé)」

20200813a_isaotomitaraveldaphnisetchloes

SACD: 冨田勲(Isao Tomita)「ダフニスとクロエ(Daphnis et Chloé)」
Vocalion Ltd 2019年 CDSML 8554
SACD/CDハイブリッド、サラウンド4.0チャンネル、ステレオ2チャンネル
2020年8月にヤフオク!で購入、2780円

懐かしさ ★★
楽曲 ★★★
演奏 ★★★
録音 ★★★★
購入満足度 ★★★

このSACDは2019年にリリースされた。冨田勲が1979年にLPレコードを発表した「ダフニスとクロエ」のマスターテープを基に、Michael J.DuttonがマスタリングをしてSACD化している。

同じレーベルから出た冨田勲「火の鳥」(記事はこちら)は、1975年録音、1976年リリースである。「ダフニスとクロエ」は1979年録音・リリースだ。2枚のディスクの背面を読むと、その4年で、冨田勲が使う機材が大幅に増えたことがわかる。それによって、火の鳥とダフニスとクロエでは、音の違いが生じている。

ポリフォニックシンセサイザー、ストリングスマシンといった、同時に複数の音を弾ける電子楽器が導入されている。ローランドの4音ポリフォニックシンセサイザー「JUPITER-4」、ストリングスマシン「RS-202」、ボコーダー+ストリングス「VP-330」(「Vocoder Pulse」と書かれているが「Vocoder Plus」が正しい)、ヤマハの8音ポリフォニックシンセサイザー「CS80」、ストリングスマシン「SS30」、コルグのボコーダー(クレジットされていないが「VC-10」だろう)、メロトロンである。

Moogモジュラーシンセサイザーは「Ⅲp」と「System 55」などがクレジットされている。ローランドのSYSTEM-700もある。ローランドのデジタル・シーケンサー「MC-8」もある。

こうして見てくると、私がシンセサイザーに興味を持ち、冨田勲のスタジオの写真を初めて見たころのラインナップではないかと思う。懐かしい。

火の鳥ではクレジットされていなかったが、ダフニスとクロエでは、dbxノイズリダクションの使用がうたわれている。テープレコーダーも、メインの「Ampex MM 1100」(16トラック)は変わっていないが、ティアックの16トラックと8トラック2台など、追加が目立つ。

以上のような機材の拡張があり、ダフニスとクロエの音は、火の鳥に比べ、音のパレットの色数が増えている。音も多い。ノイズはよく抑えられていて、弱音と強音の差も大きい。

一方で、Moogのモノフォニックを弾いていたころの「一音入魂」は薄まっている。dbxノイズリダクションはノイズを抑えるのに大きな貢献をするが、音が若干平板になるという印象を、私は持っている(dbxノイズリダクション付きの高価なカセットデッキを買って使っていた時期があった)。

そんなわけで、ダフニスとクロエの演奏と録音は、冨田勲にしては、最高のものとは言えないかなぁ、と思う。これはこれでいい音なんだけれど。

冨田勲のファンなら、買っていいと思う。1979年の冨田サウンドを、ちゃんと4チャンネルで聴ける。4チャンネル分、ある程度大きなスピーカーを用意して、お楽しみいただきたい。

H2

 

2020年8月 9日 (日)

SACD: 冨田勲(Isao Tomita)「火の鳥(Firebird)」

20200809h_isaotomitafirebird

SACD: 冨田勲(Isao Tomita)「火の鳥(Firebird)」
Vocalion Ltd 2019年 CDSML 8558
SACD/CDハイブリッド、サラウンド4.0チャンネル、ステレオ2チャンネル
2020年8月にamazon.co.jpで購入、1800円

懐かしさ ★★★
楽曲 ★★★
演奏 ★★★★★
録音 ★★★★★
購入満足度 ★★★★★

このSACDは2019年にリリースされた。冨田勲が1976年に発表した「火の鳥(The Firebird)」のマスターテープを基に、Michael J.DuttonがマスタリングをしてSACD化している。1976年のアナログレコードはSQ4チャンネルであったろう。

私が少年であった1970年代。家に「驚異の4チャンネルSQサウンド」という4枚組があった。NHKの「オーディオ入門」のテキストを買って、日時を調べてテレビの前に座っていた私は、4チャンネルの音をいつか聴いてみたいと思っていた。とはいうものの、その4枚のためにステレオセットに投資してくれとは、父にはとても言えなかった(というか、中学入学のお祝いに、自分の部屋で自由に使える、アイワのでかいラジカセを買ってもらったんだった)。

夢の4チャンネル再生が、今になってかなうとはねぇ。

冨田勲の火の鳥はCD化はされていたが、SACDは今回が初である。他のレコードは冨田勲本人によってDVD-Audio化やSACD化がされているものが多い。それらはもちろん悪くはないのだが、本人は過去の本人に対してあまりリスペクトを抱けないものなので、ついつい改良、改変してしまうものである。その点、今回のvocalionによるSACD化は、過去の音源に対する敬意が十分に感じられる出来で、新たなやり方を提示したと言える。

4.0チャンネルでSACD化するか、5.0チャンネルか、5.1チャンネルか、といった選択は、難しい。

今回の火の鳥は、オリジナルママの4.0チャンネルだ。1970年代のステレオセットは、3ウェイのフロア型や巨大ブックシェルフ(スタンドを別に買えという意味だ)が最上級とされており、そうした大きいスピーカーを4個並べるというのが当時の理想のシステムであっただろう。

そんなわけで、今回の火の鳥は、フロントLRとサラウンドLRに、それなりに大口径で大出力のスピーカーがある状況でないと、本来の音では鳴らない。フロントLRがヤマハNS-10M、サラウンドLRがBehringer B2030Pという組み合わせで鳴らしたところ、どうも物足りなかった。フロントLRがGenelec 1031A、サラウンドLRがBehringer B3031Aという組み合わせにし、座る位置を調整して、やっといい音になった。

1970年代の冨田勲を、結局、誰も超えられなかったのかも、と思わせる、すばらしいシンセ音楽だ。

一つだけ難癖を付けるとすると、フォルテシモがもう少し大きくてもよかったのではないかと思う。

私がストラビンスキーの火の鳥を初めて聴いたのは、自分が所属していた吹奏楽団の演奏である。フィナーレの部分だけだが。昔は、楽譜を渡されて、その曲を他の人が演奏するのを一度も聴かないまま、練習するというのはよくあることだった。火の鳥のフィナーレは、唇がへろへろになるまで息が上がるまで吹き続けるものだ、と思い込んでいるので、今回のディスクの火の鳥のフィナーレは、あっさりしているように感じる。やれやれ。

マスタリング時に、リミッターかけちゃったのかなぁ。

フォルテシモを大きくするということは、他を小さくするということと同義だからなぁ。

何はともあれ、このディスクを作ってくれたvocalionを、大いに称えたい。

手持ちのオーディオシステムに自信があるオーディオ愛好者にお薦めする。また、シンセサイザーを志す人は、このディスクを納得いく音で再生できる環境を整えることから始めてもいいかもしれない。それほど素晴らしいディスクだ。ステレオ2チャンネルも悪くはないが、できればSACDの4チャンネルを聴いていただきたい。

H2

2020年7月26日 (日)

DVD-Audio: 冨田勲(Isao Tomita)「惑星 2003(The Planets 2003)」

20200726a_isaotomitatheplanets2003

DVD-Audio: 冨田勲(Isao Tomita)「惑星 2003(The Planets 2003)」
Plazma Music 2003年 COAQ-15
DVD-Audio、サラウンド4.1チャンネル、96kHz24ビット
2020年7月にヤフオク!で購入、2300円

懐かしさ ★★★★★
楽曲 ★★★★
演奏 ★★★★★
録音 ★★★★★
購入満足度 ★★★★★

冨田勲の惑星については、こちらでSACDの「惑星 ULTIMATE EDITION」を紹介している。2003年にDVD-Audioが出て、2011年にSACDが出た。SACDを聴いて、LPレコードで聴いた2チャンネルの記憶とイメージが違うなぁ、と思ったので、2003年のDVD-Audioも聴いてみたいと思っていた。入手できて、本当に嬉しい。

2003年のDVD-Audioは4.1チャンネルで、2011年のSACDは4.0チャンネルだ。SACDは再生するのに手間がかかったが、DVD-Audioの方は、普通にAVアンプで再生して、普通にまともな音がする。楽でよい。

2011年のSACDは音が足され、曲が挿入され、昔のレコードとは大きく違うものであったが、2003年のDVD-Audioでは音は加えられていないようだ。「今回のアルバムは、ほとんどMOOG IIIアナログシンセサイザーによる音源とアナログシーケンサーを使用しています」と記されている。それでも、昔の記憶に比べると、聞こえなかった音が聞こえてきたように思う。

うんうん。こうだよね、と思う。アナログレコードを聴いた時は、2チャンネルでこれだけすごいんだから、4チャンネルってもっとすごいんだろうなぁ、と思った。それが、やっと聴けた。嬉しい。

昔の記憶だと、ここはもっとどかーんと来たような気がする、というのはある。2チャンネルだし、アナログレコードだからカッティング段階でコンプレッションがかかったろうし、それをカセットテープにダビングする際にもコンプレッションがかかったはずなので、それで違うのかも、と思う。

このDVD-Audioで惜しいことの一つは、2チャンネル音声が収録されていないことだ。ダウンミックスで聴くしかない。ただ、やってみたら、記憶のイメージにかなり近かった(当たり前と言えば当たり前だが)。最初から最後までぶっ通しで再生して、聞き惚れてしまった。

もう一つ惜しいのは、このDVD-Audioディスクの入手が難しくなりつつあることだ。いろいろな音が、消えていってしまうなぁ。

H2

2019年12月22日 (日)

SACD: 冨田勲(Isao Tomita)「惑星(PLANETS)ULTIMATE EDITION」

20191222a_planetsultimateeditiontomita

SACD: 冨田勲(Isao Tomita)「惑星(PLANETS)ULTIMATE EDITION」
Plazma Music 2011年 COGQ-51
SACD/CDハイブリッド、サラウンド4チャンネル、ステレオ2チャンネル
2015年12月にamazon co. jp.で購入、2399円

懐かしさ ★★★★
楽曲 ★★★
演奏 ★★★★
録音 ★★★★
購入満足度 ★★★★

中学生のころ、貸しレコード屋に自転車で行き、冨田勲の惑星のLPレコードを借りてきて、カセットテープにダビングした。夜、寝る支度をして部屋の電気を消し、枕の上にアイワのステレオラジカセを置き、何度も聴いた。シンセストリングスが好きでたまらないのは、やはり冨田の影響かもしれない。

そんな思い出を持つ私とすると、この「惑星 ULTIMATE EDITION」の音は、記憶の中の惑星とは一致しない。本人による再演奏ともいうべきもので、JUPITER-80、GAIA SH-01、VP-7、VP-770、SD-50といった近年のローランドのシンセの音が、かなり足されている印象だ。曲目も「イトカワとはやぶさ」が途中に挿入されている。

ノイズはかなり抑えられている。音の出方はけっこうきつい。ピキーン、と来る。強弱も、アクセントの付け方が時々違和感がある。ここでガツンと来てほしい、というところで肩透かしを食らったりする。一方で、踊りたくなるほどビートが響いてくる局面もある。これが冨田の2011年の音なんだ、と思って聴いている。

ここまで緻密なシンセの演奏というのは、作曲、演奏を完全に分けているからこそなしえていると思う。

一つのフレーズのパンが動いていくのが、冨田流だと感じる。私は自分の録音にマルチトラックのレコーダーは原則使わないことにしているが、コントロールチェンジで真似ができないか、試してみようと思っている。

マルチチャンネルも、いつかやってみようかなぁ。

今は、フロントLRがGenelec 1031A+Dynaudio BM14S、リアLRがパイオニアVSA-919AH→Behringer B2030Pという組み合わせで聴いている。解説書の冨田の写真にはGenelecの8000シリーズが写っている。私としては、今回は、まあまあの音で再生できていると思う。

フロントLRに低域が入っているので、フロントLRに大きなスピーカーを使うか、またはサブウーハーを使うことが必要である。リアは、通常のクラシックのサラウンドだとあまり大きな音が入っていないのだが、冨田の4チャンネルではリアがフロントと同じ大きさで鳴る必要があるので、フロントとリアのバランスも、通常の再生とは同じものではうまくいかないかもしれない。

シンセを志す人は、冨田の録音はよい教科書なので、このディスクに限らず、なるべくたくさん聞くとよいと思う。

オーディオ趣味の人には、薦めにくい。冨田4チャンネルのためにいろいろと工夫しなければならず、多くの人にとってそれは面倒な作業であろうと思うからだ。また、オーディオ趣味の人でシンセが好きという人は、あまりいないような気もする。

私にとっては、あーやっと満足な音で再生できた、今後も何度も聴こう、という1枚。

H2

 

2017年4月26日 (水)

SACD: 藤原道山(Dozan Fujiwara)×冨田勲(Isao Tomita)「響(kyo)」

20170426a_kyo

SACD: 藤原道山(Dozan Fujiwara)×冨田勲(Isao Tomita)「響(kyo)」
コロムビアミュージックエンタテインメント COGQ-36 2008年
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル/5.1チャンネル
2017年4月にヤフオク!で購入。1480円

懐かしさ ★★★
楽曲 ★★★★★
演奏 ★★★★
録音 ★★★★
購入満足度 ★★★★★

後期「トミタ」サウンドを堪能できる逸品。「ひぐらし」という曲は藤原道山の即興に冨田が背景音を付ける形で作られたため、藤原道山作曲になっているが、他は冨田勲の作曲。

1曲目を鳴らした瞬間、5.1チャンネルスピーカーの鳴り方が「ぼく流の5.1サラウンド」(冨田勲自身の解説から引用)であることに感動した。惑星など、昔の4チャンネルをSACD化したものだと、昔が4チャンネルだから今も4チャンネルだったりするわけだが、このディスクは、5.1チャンネルが、ちゃんと使われていて、いい。昔の冨田勲はもちろんいいが、このディスクは、入手できて本当によかった。

ストリングスのサウンドとかが、新しい便利なシンセを使っている分、前期サウンドに比べると、手抜き感がある。でも、その分S/Nはいい。これはこれで、いい。

藤原道山の尺八も素敵。見事に主役を担っている。

解説書にも力が入っている。冨田、藤原の文章に加え、一ノ瀬雄彦による「時空を超えた音楽の旅」という解説があり、これの情報量が多いのがよい。勉強になる。

解説を読み、聴いていると、ところどころ、昭和の日本の風景が浮かぶ。

私にとっては、何度も聴いて、お手本にしたい1枚。どういう人に薦めるかというと、やはり、まずは冨田勲のファンである人。必聴でしょう。あと、5.1チャンネル再生環境がある人。再生セットがよく鳴りますぜ。

ここまで書いてから、2チャンネルで聴いてみている。ちゃんと仕上げてあるけれど、でも、5.1チャンネルを聴いた後だと、少し物足りないかな。

H2

2017年3月 3日 (金)

SACD: 冨田勲(TOMITA)「月の光(Clair De Lune)ULTIMATE EDITION」

20170303b

SACD: 冨田勲(TOMITA)「月の光(Clair De Lune)ULTIMATE EDITION」
Plasma Music/DENON/日本コロムビア COGQ-59 2012年
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル/4チャンネル/バイノーラルAACファイル(m4a形式)
2015年12月にamazon.co.jpで購入。2547円

懐かしさ ★★★★
楽曲 ★★★
演奏 ★★★★★
録音 ★★★
購入満足度 ★★★★★

このSACDのレビューを書こう書こうと思っていて、でもけっこう荷が重くて逡巡していたのだが、なんとかやっと書けそうである。

冨田勲は偉人であると思う。聴けば聴くほどそう思う。宅録の元祖かつ巨匠で、この人の音楽とそれにまつわるインタビュー記事とかに、私はどれほど影響を受けたことか。このディスクには冨田勲の文章も載っていて、やっぱりこの人は偉いな、すごいな、天才だなー、と思った。

40年ぶりにマスターテープ(最終ミックス前の2インチ幅のマルチテープ)を開き、4チャンネル、2チャンネル、ヘッドホンでバイノーラルを楽しむためのAACファイルを作ったという。その凝り方に頭が下がる。

まずは4チャンネルから聴いた。で、これが、再生能力を問われる難物なんだな。

我が家のサラウンド再生システムは、フロントLRがNS-10Mである。これの標準状態(AVアンプでキャリブレーションを取った状態)で「月の光」を聴くと、なんともあっけない。低音が足りない。NS-10Mは低域が出ないスピーカーで、普段は、ステレオ2チャンネル再生ならサブウーハーの支援を受ける。5.1チャンネルでもそうだ。でも、4チャンネルとなると、どうしようもなくしょぼくなってしまう。

そんなわけで、フロントをB3031Aにして、AVアンプからはリアLRを出す、という再生にチャレンジした。それだと、フロントの音量はdbx QUANTUMのツマミで設定し、リアをAVアンプVSA-919AHのツマミで設定することになる。

20170303a

机の、キーボードに一番近いところにそれらのツマミはあるので、操作しにくいということはないが、それでも、面倒である。

で、再生してみたら、リアを相当に大きくしないと「らしく」ならない。音が空間を飛び回ったり縦横無尽に混ざったりする感じが出ない。その設定は、AVアンプの標準設定とはかけ離れている。このディスクの4チャンネル再生は、再生する側にチャレンジを要求している。

4チャンネルはけっこうすごい作りで、小さい音は小さく、大きい音は大きい。けっこう大音響で聴かないとしっくりこない。これ、住環境によっては近所に気兼ねしなければならないだろう。そこも、オーディオファン向けと言える。

で、ある程度満足いく状態で聴いてみると、「うぉー、トミタすげーぜ」である。音がぐぐぐっと変化していく様は、今の「つまみ全盛」をはるか昔に先取りしていたことを示している。一つひとつの音が、狙った音が何かを強烈にアピールしているのもすごい。フルートはフルートに、ホルンはホルンに、ハープはハープに、オーボエはオーボエに、弦は弦に、声は声に聴こえる。PCMより似ているくらいだ。アナログ機器しかない時代にこれ作ってたのか、と驚くしかない。生楽器の音を、よく知っていなければできないことだ。で、また、シンセの音というのもちゃんとあるんだよねー。すさまじい。

キーボードマガジンのインタビューで冨田がザビヌル(Joe Zawinul)にコメントしていて、音は普通だよねー、みたいな言い方をしていて吹き出してしまったが、ザビヌルを普通と言えるのは、冨田だからだろーなー、と思う。

ノイズが猛烈に浮いてくるところもあるけれど、全体としては、よくここまでノイズを抑えた、と感心する。ノイズと長年戦い続けてきた冨田の本領発揮というところだろう。

演奏もすごい。デジタルシーケンサーないのに、よくこれが弾けるわ(彼はデジタルシーケンサー利用の先駆けにもなるわけだが)。おそらく、テープの速度落として手弾きしてたんじゃないかと思うが、どうだったんだろう?

エフェクトもすごい。板かスプリングのリバーブと、テープディレイ、フェイザーくらいしかなかったんじゃないかと思うが、まあ、よくはめてる。解説ではエーストーンのEQにも言及していて、凝りようの一端がうかがえる。

後の「惑星」「展覧会の絵」に比べると、アルバム全体の構成に劇的さが足りないんだけど、でも、テクニックでいうと、この最初のアルバムも、ほんとすごい。「まさにガラクタ部屋に寝袋を持ち込んで仮眠をしながら、昼夜の区別なくモーグシンセサイザーの可能性を探っていた」(解説書、冨田勲文)という、その根性が、これに結実している。

次に、2チャンネルを聴いてみた。NS-10M+サブウーハーYST-SW800の構成である。これが、4チャンネルと大きく違うのでびっくり。ダイナミックレンジを抑えた、今の普通の音になっている。マニア向けじゃなくて、普通のリスナー向け。おお、そう来たか、という感動を覚えた。つぼ外さないねー。

最後にWindows 10パソコンのDVDドライブに入れてみた。

20170303c

ディスクのアイコンを右クリックして再生できるし、上図のように、曲のファイル一覧を開いて聴くこともできる。圧縮されていて容量は大したことはなく、音質はSACD層に負けると思うが、でも、ヘッドホンで聴くならこれを聴いてみてよ、という冨田の声が聞こえてくるようだ。バイノーラル、懐かしい響きだなぁ。

冨田勲のSACDは「惑星」「展覧会の絵」とかも買ってある。それらについても、おいおい記事を書く予定。

シンセ弾きは、聴けば聴くほど、学ぶべきことが見えてくるSACDだと思う。オーディオファンも、挑戦してみる価値がある。

普通の人は、というと、ある意味、普通の人はこのディスクに付加価値を感じにくいだろうから、そうなると音楽そのものの価値をストレートに感じてもらわないといけない。ドビュッシーとシンセ、という取り合わせ自体に、抵抗感がある人もいるかもしれない。「なんでそんなことするの?」みたいな。私の満足度はすごく高いけど、万人にオススメできるかというと、一歩下がってしまうところがあるかも。

H2

「ハイレゾで行こう!」検索