SACD: 須川展也&東京佼成ウインドオーケストラ(SUGAWA&TOKWO)「ライブ2004(Live 2004)」
SACD: 須川展也&東京佼成ウインドオーケストラ(SUGAWA&TOKWO)「ライブ2004(Live 2004)」
Kosei Publishing Company KOCD-3317 2004年
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル/5チャンネル
2017年2月にヤフオクで購入。1155円
懐かしさ | ★★★★ |
楽曲 | ★★★ |
演奏 | ★★★ |
録音 | ★★ |
購入満足度 | ★★★★ |
須川展也さんは、私の高校の吹奏楽部の数年先輩で、東京芸術大学在学中に指導と演奏に来てくださった。このSACDの中の「追憶」は、定期演奏会で一緒に演奏したことがある。懐かしい。それ以後も、須川さんの元門下生が開くコンサートの録音に駆り出されたことが何度かあり、須川さんの迫力ある演奏を聴くのは、いつも楽しみだった。須川さんのSACDは欲しいなー、と思っていて、今回やっと1枚入手できた(ゲストとして出ているのはもう1枚持っているが)。
須川さんのすごさは、まずはやっぱり、音色が圧倒的に美しいこと。これが努力の賜物なのか、それとも天性の才能なのかというと、私としては、後者のように思う。とにかく美しく、その音を聴けるだけで、幸せである。
ただ、こういう吹奏楽のアルバムを、どう楽しめばいいかというと、ちょっと難しいところもあるかなー、という気もする。
吹奏楽に一番親しんでいるのは吹奏楽をやっている学生、もしくは、やっていた元学生であろうと思う。で、学校の吹奏楽部の吹奏楽ってのは、ある意味、高校野球を見るような面白さがある。へたなんだけど、とにかく長時間練習している、ってことですな。で、東京佼成ウインドオーケストラのようなプロになると、これは、プロ野球見ているみたいである。うまいんだけど、ひたむきさはない、というか。まあ、プロだからこういう音なんだけど。
ということで、プロ野球が面白いという人もいる一方で、高校野球が面白いという人もいるように、吹奏楽部の音楽と、このアルバムに収録された音楽は、別のものだ。で、私たちがやってた吹奏楽じゃないよね、これ、という感想も、少なからず持ってしまうわけだ。となると、心からこのSACDを楽しめるか、というと、うーむ、と思ってしまうところがある。
録音についてなんだけど、これがTOKWOの典型的な音であるのはわかる。昔、こういう音を模範演奏として聴いていたから。でも、これって、聴いて面白い音かしら?とも思う。音がけっこう向こうにあって、迫ってこない。5チャンネルサラウンドで聴いても、センターがあまり使われておらず、うちのセットだと、中抜け感がある。
前半はソロサックスの音量が控えめなのも、うーん、難しいところだよなー、と思う。吹奏楽の模範演奏としてはこのバランスなんだけど、このアルバムって、須川さんの音を聴くためのアルバムなんじゃないの?と思う。須川さんの音が立ってくるのは、トラック8からだと思うので、前半だけ聴いて判断しない方がいいと思う。
ただ、後半も、ちょっと難があるなー、と思うのは、トラック9「A Song For You」とかを聴いて感じるんだけど、ビートが、本来のポップスのものじゃないこと。須川さん自身はいろんな経験があるからビートに幅があってそんなにおかしくないんだけど、バックが奏でているビートは何かヘン。ドラムスとか、吹奏楽の専門家がドラムセットを叩くとこうなるのは仕方ないけど、でも、変。ドラムスだけでなく、バックの人のビートの感じ方は、なんか、吹奏楽くさい。ポップスやジャズを普段聴いている人は、違和感があるんじゃないかと思う。
ピアソラも、ピアノとのデュオとか、バンドネオンを加えたトリオとかで聴いたときの迫力は、ここには再現されていないような…。録音が悪いのかなぁ。
ということで、吹奏楽が好きな人向けのアルバムかな?
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