SACD: 鈴木良雄(Yoshio Suzuki)「Moon and Breeze」
SACD: 鈴木良雄(Yoshio Suzuki)「Moon and Breeze」
VIDEOARTS MUSIC, Inc. VACV-1047 2004年
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル
2017年10月にヤフオク!で購入。2800円
懐かしさ | ★★★★★ |
楽曲 | ★★★★ |
演奏 | ★★★★ |
録音 | ★★★ |
購入満足度 | ★★★★ |
私は不勉強なことに鈴木良雄というベーシストをこれまで知らなかった。SACDを買おうかとネットサーフィンしているうちに、このディスクを見付けた。渡辺貞夫(ナベサダ)やアート・ブレイキーのバンドにいたという。ナベサダもこのアルバムで吹いているという。ナベサダを聴けるSACDはさほど多くない、高いけど買ってみるか、ということになった。
ジャケットを見て、モダンジャズだろうと想像していたのだが、そうではなかった。そもそも最初がシンセと三線(さんしん)で始まる。ちょっと進んだだけで、ナベサダのフュージョンじゃん、とわかった。
小川隆夫という人の解説文の中で、鈴木良雄は「サダオさんのバンドがぼくの原点だからね。あのバンドのディレクションが、いまのぼくの音楽にも共通している。何かっていうと“歌”なんだ。メロディを大事にしている。それがサダオさんとぼくの共通点かな」と語っている。
まさにその通り。美しい。
これがジャズかどうか。私は、これはジャズだと思う。アヘッドな姿勢、前進しようという姿勢が、目立たないけれど、ある。酸いも甘いも知り尽くした人が、試行錯誤しながらも、自分の信じるところを突き詰めようとしている。世の中で起こっていることを自分なりに咀嚼した上で、自分の音楽を示そうとしている。
昨日やっていたことと全く違うことはできないけれど、昨日と全く同じでもいられない。そういう歩みの蓄積が感じられる。また、この人たちは、自分がやってきたこと、やっていることに、飽きていない。それも大切なことだと思う。
ナベサダが吹いているのは「Wings」「Passionate Lady」の2曲。うっとりする。管楽器の音の美しさってのは、最後は天賦の才なんだよなあ。この2曲だけで、懐かしさ星5つ。他の人のフルートやリコーダーやサックスもかなりいいんだけど、ナベサダは、やはりナベサダである。泣ける。
ジャズは袋小路に入ってしまったと思う時もあるけれど、これは違う。「歌」が、一つの答かもしれない。ジャズでなければ歌えない歌。
緻密であることを感じさせずに、でも、緻密なんだよなー。いいジャズってのは。
いい音楽が好きな人は、ぜひ。
H2
« SACD: Aleš Bárta(アレシュ・バールタ)「Toccata and Fugue ORGAN SURROUND ILLUSION」 | トップページ | SACD: Bernard Haitink/London Symphony Orchestra「Beethoven Symphonies Nos 1-9 Special Edition」 »
「鈴木良雄」カテゴリの記事
- SACD: ケイ赤城トリオ(Kei Akagi Trio)「VIEWPOINT」(2018.03.24)
- SACD: 鈴木良雄(Yoshio Suzuki)「Moon and Breeze」(2017.10.17)
「渡辺貞夫」カテゴリの記事
- SACD: The Great Jazz Trio「Stella by Starlight」(2020.03.08)
- SACD: 渡辺貞夫(Sadao Watanabe)「Paysages」(2020.03.07)
- CD: 佐藤允彦(Masahiko Satoh)、渡辺貞夫(Sadao Watanabe)、日野皓正(Terumasa Hino)、峰厚介(Kosuke Mine)、山下洋輔(Yosuke Yamashita)「マイ・ワンダフル・ライフ 富樫雅彦バラード・コレクション(My Wonderful Life - Masahiko Togashi Ballad Collection)」(2019.01.26)
- SACD: 渡辺貞夫(Sadao Watanabe)「Orange Express」(2019.01.15)
- SACD: 鈴木良雄(Yoshio Suzuki)「Moon and Breeze」(2017.10.17)
« SACD: Aleš Bárta(アレシュ・バールタ)「Toccata and Fugue ORGAN SURROUND ILLUSION」 | トップページ | SACD: Bernard Haitink/London Symphony Orchestra「Beethoven Symphonies Nos 1-9 Special Edition」 »
コメント