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2017年3月 3日 (金)

SACD: 冨田勲(TOMITA)「月の光(Clair De Lune)ULTIMATE EDITION」

20170303b

SACD: 冨田勲(TOMITA)「月の光(Clair De Lune)ULTIMATE EDITION」
Plasma Music/DENON/日本コロムビア COGQ-59 2012年
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル/4チャンネル/バイノーラルAACファイル(m4a形式)
2015年12月にamazon.co.jpで購入。2547円

懐かしさ ★★★★
楽曲 ★★★
演奏 ★★★★★
録音 ★★★
購入満足度 ★★★★★

このSACDのレビューを書こう書こうと思っていて、でもけっこう荷が重くて逡巡していたのだが、なんとかやっと書けそうである。

冨田勲は偉人であると思う。聴けば聴くほどそう思う。宅録の元祖かつ巨匠で、この人の音楽とそれにまつわるインタビュー記事とかに、私はどれほど影響を受けたことか。このディスクには冨田勲の文章も載っていて、やっぱりこの人は偉いな、すごいな、天才だなー、と思った。

40年ぶりにマスターテープ(最終ミックス前の2インチ幅のマルチテープ)を開き、4チャンネル、2チャンネル、ヘッドホンでバイノーラルを楽しむためのAACファイルを作ったという。その凝り方に頭が下がる。

まずは4チャンネルから聴いた。で、これが、再生能力を問われる難物なんだな。

我が家のサラウンド再生システムは、フロントLRがNS-10Mである。これの標準状態(AVアンプでキャリブレーションを取った状態)で「月の光」を聴くと、なんともあっけない。低音が足りない。NS-10Mは低域が出ないスピーカーで、普段は、ステレオ2チャンネル再生ならサブウーハーの支援を受ける。5.1チャンネルでもそうだ。でも、4チャンネルとなると、どうしようもなくしょぼくなってしまう。

そんなわけで、フロントをB3031Aにして、AVアンプからはリアLRを出す、という再生にチャレンジした。それだと、フロントの音量はdbx QUANTUMのツマミで設定し、リアをAVアンプVSA-919AHのツマミで設定することになる。

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机の、キーボードに一番近いところにそれらのツマミはあるので、操作しにくいということはないが、それでも、面倒である。

で、再生してみたら、リアを相当に大きくしないと「らしく」ならない。音が空間を飛び回ったり縦横無尽に混ざったりする感じが出ない。その設定は、AVアンプの標準設定とはかけ離れている。このディスクの4チャンネル再生は、再生する側にチャレンジを要求している。

4チャンネルはけっこうすごい作りで、小さい音は小さく、大きい音は大きい。けっこう大音響で聴かないとしっくりこない。これ、住環境によっては近所に気兼ねしなければならないだろう。そこも、オーディオファン向けと言える。

で、ある程度満足いく状態で聴いてみると、「うぉー、トミタすげーぜ」である。音がぐぐぐっと変化していく様は、今の「つまみ全盛」をはるか昔に先取りしていたことを示している。一つひとつの音が、狙った音が何かを強烈にアピールしているのもすごい。フルートはフルートに、ホルンはホルンに、ハープはハープに、オーボエはオーボエに、弦は弦に、声は声に聴こえる。PCMより似ているくらいだ。アナログ機器しかない時代にこれ作ってたのか、と驚くしかない。生楽器の音を、よく知っていなければできないことだ。で、また、シンセの音というのもちゃんとあるんだよねー。すさまじい。

キーボードマガジンのインタビューで冨田がザビヌル(Joe Zawinul)にコメントしていて、音は普通だよねー、みたいな言い方をしていて吹き出してしまったが、ザビヌルを普通と言えるのは、冨田だからだろーなー、と思う。

ノイズが猛烈に浮いてくるところもあるけれど、全体としては、よくここまでノイズを抑えた、と感心する。ノイズと長年戦い続けてきた冨田の本領発揮というところだろう。

演奏もすごい。デジタルシーケンサーないのに、よくこれが弾けるわ(彼はデジタルシーケンサー利用の先駆けにもなるわけだが)。おそらく、テープの速度落として手弾きしてたんじゃないかと思うが、どうだったんだろう?

エフェクトもすごい。板かスプリングのリバーブと、テープディレイ、フェイザーくらいしかなかったんじゃないかと思うが、まあ、よくはめてる。解説ではエーストーンのEQにも言及していて、凝りようの一端がうかがえる。

後の「惑星」「展覧会の絵」に比べると、アルバム全体の構成に劇的さが足りないんだけど、でも、テクニックでいうと、この最初のアルバムも、ほんとすごい。「まさにガラクタ部屋に寝袋を持ち込んで仮眠をしながら、昼夜の区別なくモーグシンセサイザーの可能性を探っていた」(解説書、冨田勲文)という、その根性が、これに結実している。

次に、2チャンネルを聴いてみた。NS-10M+サブウーハーYST-SW800の構成である。これが、4チャンネルと大きく違うのでびっくり。ダイナミックレンジを抑えた、今の普通の音になっている。マニア向けじゃなくて、普通のリスナー向け。おお、そう来たか、という感動を覚えた。つぼ外さないねー。

最後にWindows 10パソコンのDVDドライブに入れてみた。

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ディスクのアイコンを右クリックして再生できるし、上図のように、曲のファイル一覧を開いて聴くこともできる。圧縮されていて容量は大したことはなく、音質はSACD層に負けると思うが、でも、ヘッドホンで聴くならこれを聴いてみてよ、という冨田の声が聞こえてくるようだ。バイノーラル、懐かしい響きだなぁ。

冨田勲のSACDは「惑星」「展覧会の絵」とかも買ってある。それらについても、おいおい記事を書く予定。

シンセ弾きは、聴けば聴くほど、学ぶべきことが見えてくるSACDだと思う。オーディオファンも、挑戦してみる価値がある。

普通の人は、というと、ある意味、普通の人はこのディスクに付加価値を感じにくいだろうから、そうなると音楽そのものの価値をストレートに感じてもらわないといけない。ドビュッシーとシンセ、という取り合わせ自体に、抵抗感がある人もいるかもしれない。「なんでそんなことするの?」みたいな。私の満足度はすごく高いけど、万人にオススメできるかというと、一歩下がってしまうところがあるかも。

H2

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