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2021年8月28日 (土)

SACD: Pat Metheny「Bright Size Life」

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SACD: Pat Metheny「Bright Size Life」
ECM Records GmbH, Universal Classics & Jazz A Universal Music Company PROZ-1089(ECM 1073)1976年(録音は1975年12月)
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル
2021年8月にヤフオク!で購入。2100円

懐かしさ ★★★★
楽曲 ★★★★
演奏 ★★★★★
録音 ★★★★★
購入満足度 ★★★★★

1976年に発売されたPat Metheny(パット・メセニー)の初リーダー作を、2017年にマスタリングしてSACD化したディスク。ベースはJaco Pastorius、ドラムスはBob Moses。3曲目はギターのオーバーダブだが、他はトリオの演奏である。

ビブラフォン奏者のGary Barton(ゲイリー・バートン)が、1975年12月に書いた解説が、ジャケットの裏面に記されている。元のLPのジャケットの裏面を縮小印刷してあるため文字が小さく、イメージスキャナーでコンピューターに取り込んで読んだ。出会いについては「this kid who looked about forteen(14歳くらいに見えるこの子)」とPatのことを表現している。天才少年だったんだろうなぁ。

ゲイリーの解説は「I personally feel this is a great record and recommend it to everyone. It's positive and hot and simply excellent.(私は個人的に、これは偉大なレコードですべての人に薦められると感じている。ポジティブでホットで、シンプルに素晴らしい。)」という言葉で締めくくられている。

まさにその通り。大変に素晴らしいディスクだ。録音に要した時間は6時間。発売された1976年の売上は800枚であったという。時を経て輝くディスクと言えるだろう。

録音は素晴らしい。左にベース、右にギター、ドラムスは左右に大きく広がって存在する。面白いのは、ベースとギターに余韻(ディレイかな)が多めで、ドラムスがドライに近いことだ。けっこうユニークな音像だろう。

当初Genelec B3031A×2で聴いていて、気持ちベースが小さいかなぁ、ギタリストのリーダーアルバムだから忖度したか?と思った。名プロデューサーのManfred Eicherがそんなことをするわけはなく、Dynaudio BM14Sを加えたら、ベースがうまく広がり、バスドラムが聞こえるようになった。50Hzより下、かなり低いところの情報がしっかり収められているようだ。低域がしっかり聞こえるオーディオシステムで再生することをお勧めする。

パット・メセニーは1978年にPat Metheny Group(PMG)を結成し、シンセサイザーを多用するようになる。それはそれで好きではあるのだが、PMG以前に出していた音がどんなものであったかを、このBright Size Lifeというディスクで知ることができる。

組んでいるのが、早逝したジャコ・パストリアスであるのが泣ける。ジャコは1976年にWeather Reportに加入してスターダムに駆け上がることになるわけだが、このディスクではそれ以前のジャコを堪能できる。まあ、同じと言えば同じなのだが。

パットとジャコの音は、自負を持ちながらも、謙虚さと初々しさを感じさせる。全体として、ハードというよりは美しい。ホットではあるが、ダーティやヘビーではない。ボブは若い才能を優しく支えている。さわやかだ。

過去の名盤をSACD化するというビジネスは、アナログマスターが良い状態で残っているならば、工程は少なく、ほどほどの予算で素晴らしい結果を得られるものであると思う。ただ、マスタリングをどじると、「SACDなのに音が悪い」となってしまうから、作業に慎重さが求められることも確かだろう。このディスクは、いい感じでSACD化してくれたと思う。

44.1kHz16ビットにマッピングされることもなく、アナログレコードにおける埃との闘いも避けられる。SACDをかけて、うーん、マスターテープはこういう音なんだろうなぁ、と思う。

過去の名盤のSACD化は、これからもぜひやっていただきたい。限定版じゃなく、定番として売ってくれるともっと嬉しい。

ジャズが嫌いではない、すべての人にお薦めする。

下のリンクUCGU-9061は、2017年リマスタリングの同一音源を通常版のSACDとして2021年に発売したものであろうと思われる。

H2

2021年7月16日 (金)

SACD: 曽根麻矢子(Mayako Sone)「Chaconne」

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SACD: 曽根麻矢子(Mayako Sone)「Chaconne」
Avex Inc. AVCL-25017 2004年
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル
2021年7月にヤフオク!で購入。810円

懐かしさ ★★
楽曲 ★★★
演奏 ★★★
録音 ★★
購入満足度 ★★★

チェンバロのディスクを買ったことがなく、買ってみた。チェンバロって何か、をネット検索し、ドイツ語だとチェンバロで、英語だとハープシコードであることを知った。そうか、同じものなのね。

1曲目がバッハの「平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第1番 ハ長調:前奏曲」で、最初の「ドミソドミソドミ」を聞いただけで違和感満載になってしまった。そこからタメを作るか!というのがかなりの驚きだった。冒頭部だけでなく、この人の演奏はタメやポーズが多い。

この曲は自分で時々弾くのだが、最後にリタルダンドを入れるのを除けば、インテンポで弾いてきた。テンポの揺れ、ポーズはこの曲の数学的な美しさをそこねると感じていたからだ。下のモノフォニック・シンセサイザーによる演奏は、私が2019年に録音したものである。

BOOMSTAR 5089 plays "Präludium Aus dem wohltemperierten Klavier"

上の私の演奏では、最後のリタルダンドを除き、クォンタイズ(音の頭をコンピューターのソフトウエアで揃えること)をかけている。それはもちろん、多くのクラシックの愛好者の方には理解しがたいことであるとは知っているけれど、でも、私としてはインテンポなわけだ。

そんなわけで、今回紹介するディスクの1曲目を聞いた時はけっこう驚いた。トラック6の「メヌエット ト長調」も最初の部分はよく弾くので、これもまた、いろいろと驚かされるものがあった。

演奏についてはいろいろと驚かされるんだけれども、でもなんというか、「あー、こういう風に弾く手もあるよねー」という点では、気付きと学びをもたらしてくれたので、このディスクと演奏者に感謝している。

さて、このディスクを買おうと思ったきっかけは、「本物のチェンバロのディスクを聴いてみたい」であった。チェンバロはあまり台数のある楽器ではなく、見ると「おお珍しい」と思ってしまう。生演奏を聴いたことはなく、本物を弾いたこともない。

しかしその一方で、チェンバロの音に相当に親しんでいるのも事実だ。1983年に登場したヤマハDX7を私は1984年に買ったが、付属のROM(Read Only Memory)カートリッジ1の19番には「HARPSICHORD 1」という音色があった。1984年の時点で、私はこれを弾いていたはずだ。

ハープシコードの音色はシンセ音色の定番の一つとなった。GM(General MIDI)の音色リストにも入った。昔のシンセの音を紹介する際に録音したものを2点見つけたので、以下で紹介する。2つとも手弾き無修正。

Roland SN-U110-01 "Pipe Organ & Harpsichord"「01-001 HARPSI 1」

Alesis Fusion「B-3 Pluckermann Harpsi」

で、今回のディスクでは、デイヴィッド・レイ氏が1707年のニコラ・デュモンの作品などを参考に作ったチェンバロを使っている(詳しい情報はこちら)。録音はHakuju Hallで行われた。

その録音を聞いた私の感想はというと、そっかー、本物はこんな音なのか、であった。タッチで強弱を付けられないとこういう音なんだな、と思う。タッチで強弱を付けられる偽物を弾いてきたので、ちょっとあっけにとられた。

チェンバロは、そんなに音量が出る楽器ではないと思う。ホールでコンサートをする、という楽器ではないのではなかろうか。だとすると、このディスクのように残響を多くしないで、サロン風のそんなに広くない部屋で、目の前で鳴っているように演出してくれた方がよかったのではないか。ホールで演奏しないで、スタジオの方がよかったのではないか。

そんなわけで、曲も演奏も悪くないのだが、録音は凡庸であると思う。

Avexのクラシックのディスクは、このブログでも複数紹介していて、素晴らしいものもあるのだが、今回のディスクは企画からして凡庸な気がする。

チェンバロに興味がある人にお薦めする。私としては、勉強になるディスク、参考になるディスクであった。弾き慣れた曲、聞き慣れた曲があるのも嬉しかった。

H2

2021年7月 2日 (金)

SACD: 小澤征爾/水戸室内管弦楽団/宮本文昭 他(Seiji Ozawa, Mito Chamber Orchestra, Fumiaki Miyamoto)「R.シュトラウス:オーボエ協奏曲 他(R.Strauss: Oboe Concerto etc.)」

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SACD: 小澤征爾/水戸室内管弦楽団/宮本文昭 他(Seiji Ozawa, Mito Chamber Orchestra, Fumiaki Miyamoto)「R.シュトラウス:オーボエ協奏曲 他(R.Strauss: Oboe Concerto etc.)」
Sony Music Direct (Japan) Inc. DYCC 10097 1999年
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル
2021年6月にヤフオク!で購入。1200円

懐かしさ ★★
楽曲 ★★★★
演奏 ★★★★
録音 ★★★
購入満足度 ★★★★

私の少年時代はThe Beatlesが世界的ヒットを飛ばした後だった。中学校の下校時に流れる音楽は「Hello, Good Bye」だったし、吹奏楽部は「Ob-La-Di, Ob-La-Da」「Yesterday」「Hey Jude」とかを演奏していた。YMOの「Day Tripper」にもしびれた。高校1年の時にエレクトーン教室に行き「Let It Be」を弾いた。ビートルズの曲は、3曲を今でもピアノのレパートリーにしている。ビートルズは20世紀最高の音楽ではないか、と思っていた。

ところがどっこい。私の子供はビートルズに何の感興も呼び起こされない。反応なし。

そんなわけで、歌詞のある音楽は、一時的なインパクトは大きいが、時代が過ぎると忘れられることが多いのではないか、と思うようになった。「歌は世につれ、世は歌につれ」というわけだ。

そんなことを考えているせいか、上のディスクをかけて、モーツァルトのフルート協奏曲第1番ト短調K.313に一発でやられた。花が咲いているように美しい。続くファゴット協奏曲変ロ長調K.191も感動した。今も演奏され、愛される音楽であり、100年後もそうかもしれない。フルートの工藤重典、ファゴットのDag Jensen、いずれも素晴らしい。

この2曲に比べると、続くR.シュトラウスのオーボエ協奏曲ニ長調は、私は、今ひとつであると感じた。かけておいて嫌な音ではないが、引き込まれるものがあまりない。

モーツァルトって、天才だなぁ、とこのごろ感じる。それを見せてくれる小澤征爾と水戸室内管弦楽団も大したものだ。

ステレオ2チャンネルのみであるが、録音も悪くない。ブックレットに録音についての言及が少ないので、デジタルマルチで録音したのか、アナログマルチなのか、デジタル2チャンネルなのか、アナログ2チャンネルなのかはわからない。1999年の録音だから、デジタルではなかろうか。SACD化に当たってDSDマスタリングをしたという。デジタル臭さはほとんど感じない。うまく処理されていると思う。音量がわりと一定で、家庭でスピーカーを鳴らす際に、あまり神経を使わなくて済む。

自分が音楽を作る場合、それでお金が入るということはないので、できれば、あまり飽きられない、時代と関係が薄いものを作りたい。そういう気持ちがあるから、このごろ、ポップな音楽をあまり聴かないのかもしれない。

モーツァルトが嫌でないすべての人にお薦め。下記の商品リンクはどれがSACDなのかわかりにくいので、SACDを必要とする方は、十分お気を付けください。

H2

2021年6月17日 (木)

SACD: Yo-Yo Ma, Ennio Morricone, Roma Sinfonietta Orchestra, Gilda Butta「Yo-Yo Ma Plays Ennio Morricone」

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SACD: Yo-Yo Ma, Ennio Morricone, Roma Sinfonietta Orchestra, Gilda Butta「Yo-Yo Ma Plays Ennio Morricone」
Sony BMG Music Entertainment SICC 10033 2004年(録音は2003年)
SACD/CDハイブリッド、サラウンド5.1チャンネル/ステレオ2チャンネル
2018年12月にヤフオク!で購入。1600円

懐かしさ ★★
楽曲 ★★★★
演奏 ★★★★
録音 ★★★★★
購入満足度 ★★★★

私が生まれ育った日本から初めて出国したのは1987年で、渡航先は米国だった。

その前の春、私はある吹奏楽団に(まだ)所属していて、そこの女性たちが卒業旅行に行く先輩たちに「成田へ見送りに行きましょうか」と大勢で話しているのを聞いていた。私が成田から出国する時は、だれ一人、見送りに行こうという人はいなかった。いや、実は母が言ったのだが、母の健康状態が思わしくないことは知っていたから、一人で空港へ向かった。米国の空港で迎えてくれる人がいるわけでもなく、大変に心細かったのを覚えている。初めての海外旅行では、いろいろと失敗もした。

目的地はThe University of Kansasで、1987年8月下旬から1988年5月上旬まで、学生寮でソフモア(学部2年生)扱いで過ごした。一応専攻はジャーナリズムであったが、最初の学期はアンダーグラデュエイト(学部レベル)のまともな授業は1つしか受講を許されず、それ以外は外国人向けの英語の授業だった。スピーキング、ライティング、リーディングの授業が続いた。グラマーだけは試験の結果がよく受講しなくて済んだ。

The Unversity of Kansasには芸術学部があり、著名な演奏家を招いてコンサートシリーズが催されていた。生まれて初めてシーズンチケットというものを買った。学生はかなり安価であったと思う。

そのコンサートシリーズに来た演奏家で記憶しているのは、Yo-Yo Ma、André Watts、Central Philharmonic of Chinaである。演奏したのがどこだったか忘れたがオペラも観た(「セビリアの理髪師」だった気がするが、よく覚えていない)。とにかく、Yo-Yo Maを観て聴いたというのは覚えている。それ以降も、どこかで聴いた、かもしれない。

そんなわけで、Yo-Yo MaのSACDがあると、つい買ってしまう。今回紹介するディスクはその中の1枚だ。

今回のディスクは、イタリアの偉大な作曲家であるエンニオ・モリコーネにレコード会社(ソニー・クラシカル)が、ヨー・ヨー・マの演奏で録音しないか、という話を持ちかけたものだ。モリコーネは「とても信じることができませんでした」と語っている。モリコーネは自分の曲を編曲して録音に臨んだ。

できあがった音は素晴らしい。スタジオ録音で、写真を見ると、ヨー・ヨー・マはヘッドホンをかけてブースで録音し、モリコーネもヘッドホンをかけて指揮をしている。オケの後ろの方にはシンセサイザー奏者がおり、「何の音なんだろう?」と思わせるものは、シンセサイザーであろうと見当が付く。

5.1チャンネルの方しか聴いていないが、とにかく、うねってからむ。空間が弦のうねりで満たされる。リスニングポイントから少し後ろの床に布団を敷いて寝転び天井を見上げると、目の前で音がからみあっている。録音の良さは、さすが欧州、と思う。サラウンドで音楽を聴く快感がある。

バイオリンとビオラとセロは、ビブラートについては最高の楽器だと思う。ビブラートが(左手の指の動きが)目で見えるので、奏者は初級のうちからビブラートのかけ方を学ぶし、複数で演奏する際はビブラートを合わせるということもする。

管楽器ではこうはいかない。最初にしつけられるのは、ビブラートなしで音をまっすぐ伸ばすことである。ビブラートは、どうしてもかかってしまうもの、であり、意図してかけるものではないとされる。もちろん、上級者はビブラートをうまくかけるのだが、唇の動きは金管ではまったく見えないし、木管でもそんなに見えるわけではないから、正直、秘儀のたぐいである。

あー、弦のビブラートって、うねりって素晴らしいなぁ、と思う。

また、弦楽器は、管楽器よりも弱音が出せるのがうらやましい。管楽器は振動が起きるしきい値がけっこう高いので、弦みたいな弱音は出ない。

私はシンセでストリングス音やパッド音を弾くのが好きなのだが、本物の弦のうねりは、やはり、夢のようである。このディスクの弦のうねりは逸品と言える。

エンニオ・モリコーネは著名な作曲家らしいが、私は今回のディスクに収録されている曲を聴いて、「あーこれか」ということはなかった。それでも、初めて聞いても、良い曲、良い音楽だと思う。元の映画を知らなくても楽しめる。

映画音楽は、映画を知っている人の感興を呼ぶ一方で、知らない人はぴんと来ないことが多いのだが、モリコーネの音楽は、音楽だけでも十分に語っている。

サラウンドの再生環境があるなら、ぜひ。

H2

2021年6月 2日 (水)

SACD: Fredy Kempf/Bergen Philiharmonic Orchestra/Andrew Litton「Rhapsody In Blue」

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SACD: Fredy Kempf/Bergen Philiharmonic Orchestra/Andrew Litton「Rhapsody In Blue」
BIS Records AB BIS-SACD-1940 2012年(録音は2011年)
SACD/CDハイブリッド、サラウンド5.0チャンネル/ステレオ2チャンネル
2021年5月にヤフオク!で購入。1200円

懐かしさ ★★★
楽曲 ★★★★
演奏 ★★★★★
録音 ★★★★★
購入満足度 ★★★★★

SACDなどの音楽ディスクを購入すると、家のプレーヤーにかけて再生して、意図したものを入手できたのかどうか確かめる。プレーヤーにSACDなどと表示され、マルチチャンネルのものがマルチチャンネルで再生されていることを確かめたらOKだ。通常はそこで再生をやめて、戸棚に置いてくることが多い。

このディスクは引き込まれて最後まで聴いてしまった。73分56秒あるディスクを、である。当たりのディスクと言える。

フレディ・ケンプは英国生まれのピアニストで、母親は日本人であるという。写真を見ると、確かに日本の血が入っているように思われる。現在は独ベルリン在住らしい。

ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団はノルウェーのベルゲンに本拠を置くオーケストラ。長い歴史を持つという。アンドルー・リットンは米国ニューヨーク生まれの指揮者で、2003年から2015年までベルゲン・フィルハーモニーの音楽監督兼首席指揮者を務めた。

このディスクは2011年にベルゲンのグリーグホール(Grieghallen)で録音された。ピアノはスタインウェイ。96kHz/24bitのPCMで録音され、サラウンドは5.0チャンネルに仕上げられている。

驚かされたのは音の良さだ。残響の質と量が絶妙。ダイナミックレンジも絶妙で、弱音が聞きづらいことがなく、強音はバシッと来る。ティンパニやオーケストラヒットがここまで気持ちよく鳴るディスクはちょっと記憶にない。

現在再生している環境は、プレーヤーがOppo BDP-103、そのアンバランス出力をローランドのミキサーFM-186に入れ、フロントがGenelec 1031A、センターが1029A。リアはフロアノイズが気になるなどの理由で、BehringerのMDX2000を介してBehringerのB3031A。今回は使っていないが、LFE(Low Frequency Effect)はDynaudio BM14Sである。

あー、サラウンドいいなあ、と思う。

PCM録音なので、DSD録音のものに比べると少しギザギザした感じがしなくもないが、それでもいい音。ガーシュインをこんないい音で聞けるなんて、感激である。

ガーシュインの音楽は、それほど真面目に聞いたことがあるわけではない。Hooked On Classicsというレコードが流行した時に、吹奏楽部で演奏し、その時にはそのレコードも借りてきて聴いた。ラプソディ・イン・ブルーが入っていた。

ただ、その後私はジャズ、フュージョンを志向していた時期があり、ジャズの開祖の一人と言えるガーシュインは、ずっと意識の中にはあった。

ジャズは、デキシーランド、ビッグバンド、コンボ、ビバップ、フリー、フュージョンなどと展開してきたわけだが、今改めてガーシュインを聞くと、私たちはみな、ガーシュインの手のひらの上で踊ってきたのかもしれないと思う。ガーシュインは偉大だ。I Got Rhythmがガーシュインの曲だったことは、今回初めて知った。

ガーシュインは米国を代表する作曲家の一人である。その後ジャズは大きく育ち、ヨーロッパでも人気を博し、アメリカ発の音楽を世界に印象付けた。ジャズはアメリカのクラシックとなりつつある。そのことは、ガーシュインの音楽を聞けば、自然なことであると理解できるのではないだろうか。

譜面に書いてあっても、ジャズはジャズである。

このディスクは、根を詰めて向かい合っても楽しめるし、BGMとして流しても楽しめる。5.0チャンネルの再生ができる方はぜひ聴いてみていただきたい。

H2

2021年5月18日 (火)

SonyのMDデッキ「MDS-PC2」を配線

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ソニーのMDデッキ「MDS-PC2」を配置して配線した。Genelec 1031Aの上というとんでもない場所に置いた。他に適当な場所がないのだ。オンキヨーのカセットデッキ「K-505FX」も置いたが、それはまだ鳴らしていない。

配線は、MDS-PC2アナログ出力→パッシブのセレクター→Roland FM-186→Genelec 1031A+Dynaudio BM12Sだ。音量を上げるとかなりの迫力である。

机の椅子に座った状態では、MDS-PC2のボタンはけっこう遠い。付属のリモコン「RM-D36M」も試してみた。ちゃんと動いた。

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ずいぶんと色あせて、文字が読みにくい。それでも、動いてくれるようなのが嬉しい。

2000年ごろ、借りてきたCDをMDにダビングしていた時期があった。そうしたMDを久しぶりにかけてみている。

MDはCDより音質が落ちるので、今思えばすべてWAV化した方がよかったかもしれないが、当時はHDDよりMDの方が安かった。MDの音も、そんなに悪いとは思わない。飽きが来るまでの時間が短いかなとは思うけれど。

H2

2021年5月16日 (日)

SACD: 中村善郎(Yoshiro Nakamura)「Lembrança, Esperança(思い出、そして希望)」

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SACD: 中村善郎(Yoshiro Nakamura)「Lembrança, Esperança(思い出、そして希望)」
Sony Music Japan International Inc. SICP 10004 2004年(録音は2004年1月)
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル
2020年8月にAmazon.co.jpで購入。994円

懐かしさ ★★★
楽曲 ★★★★
演奏 ★★★★
録音 ★★★★
購入満足度 ★★★★★

何もかもどうでもよくなる音楽。「さあ張り切って仕事しよう」という音楽ではない。音に身をゆだね、あれこれと思いをめぐらせながら身体と頭の力を抜く。まさに南米、ブラジルの音楽。彼の地の人々は、こういう音楽で緊張を解き、明日に向かって力を回復させるのだろう。疲れた時、何もしたくない時に最適。まったくもって素晴らしい。

いつか、私に力が戻って来る時もあるさ。たぶん。

私自身は、高校生の時に組んだピアノトリオ+αで「黒いオルフェ(Orfeu Negro)」を演奏した。ボサノヴァというものを、全く知らなかったとは言えない。

ホテルのレストランで、ギターを持ったおじさんが流しをしていた。「イパネマの娘(Garota de Ipanema)」をリクエストして、何とか通じた。出てくる音は、まさに南米のそれであった。本物のボサを聞いたのは、あの時が初めてだったかもしれない。いくら渡したか、記憶が定かでない。

中村善郎さんは日本人であるようだが、出てくる音は本物である、と私は思う。ギターを持った流しのおじさんが、スピーカーから歌いかけてくれる。

表紙を含め24ページのブックレットが付き、中村さんの曲目解説があり、和訳付きの歌詞が掲載されている。歌詞の意味を知りたくなった時に役立つ。まあ、歌詞の内容なんてどっちでもいいか、とも思うのだが。

私はCD1枚でファンになった。皆様もどうぞ。

H2

2021年2月23日 (火)

SACD: Vladimir Ashkenazy/Sydney Symphony「Elgar: Pomp and Circumstance, Serenade for Strings」

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SACD: Vladimir Ashkenazy/Sydney Symphony(ウラディーミル・アシュケナージ指揮シドニー交響楽団)「Elgar: Pomp and Circumstance, Serenade for Strings(エルガー:威風堂々、弦楽セレナード)」
EXTON Co., Ltd. EXCL-00030 2009年(録音は2008年11月)
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル
2016年12月にAmazon.co.jpで購入。2451円

懐かしさ ★★★
楽曲 ★★★
演奏 ★★★
録音 ★★★
購入満足度 ★★★

娘が「威風堂々って知ってる?」という。学校で合奏をしているようだ。家にディスクがあるよ、と持ってきて、居間のBDレコーダー+テレビ+サブウーハーで聴いた。威風堂々の1番の中間部は大変有名であるが、さほど長い曲でもないので、せめて1番だけは、最初から最後まで聴いてほしいと思ったからだ。

このディスクには1番から6番までが入っている。それらを順に聞きながら、ラスボス登場みたい、といった感想を言い合い、それを自主学習のノートに書き留めさせた。音楽鑑賞の宿題が、私が小学生か中学生の時にはあったが、今どきそんな宿題があるのかどうかは知らない。私は、モーツァルトの交響曲41「ジュピター」をかけてソファーで眠ってしまい、ひどく退屈な音楽だと思った覚えがある。まあ、子供時代にモーツァルトの良さがわかるかというと、私にはそんなことはなかった。

威風堂々1番を私が最初に聞いたのは、小学生の時であったろうと思う。「世界のマーチ集」のようなカセットテープを購入し、その中にあったような気がする。もしかしたら、FM放送のエアチェックで録音したかもしれない。威風堂々の1番は、裏拍から始まるのが新鮮で、最初のテーマがかっこよく、それを受けるテーマも素敵だ。トリオ(中間部)のメロディは美しい。出てきたものすべてが突っ込まれて大団円を迎える後半は、思い切り吹いていいぜ、というロックな楽しさがある。

威風堂々1番は、大学3年の時に所属していた吹奏楽団で演奏した。大学時代は基本的には苦いのだが、それでも、幸せな一面もあった。

今回紹介するディスクは、威風堂々の1番から6番をまとめて聴くのに好適だ。2チャンネルステレオのみなのが惜しい。録音は、可もなく不可もない。アンプのボリュームつまみをある程度上げないとちゃんと鳴らない。ある程度の音量を出せば、響きも適度に入っている。演奏は、決して悪くはないが、特筆すべき良さがあるかというと、微妙である。

威風堂々を1番から6番まで通しで聴きたいという人にお薦めする。何度も聴いているうちに、何か発見がありそうな気もする。

H2

SACD: Morton Gould「BRASS & PERCUSSION」

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SACD: Morton Gould「BRASS & PERCUSSION」
BMG Music FBCC 42182 2005年(録音は1956年10月と1959年1月)
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル/3チャンネル(LR+センター、トラック18~27のみ)
2021年2月にヤフオク!で購入。510円

懐かしさ ★★★★★
楽曲 ★★★★★
演奏 ★★★★
録音 ★★★★
購入満足度 ★★★★★

この記事を読むにあたっては、筆者が、行進曲(マーチ)になみなみならぬ思い入れを持っていることを割り引いていただく必要がある。

自分のために購入されたレコードとして記憶にあるのは、ウルトラマンやウルトラセブンのオープニングテーマが入ったレコードである。レコードプレーヤーに自分で乗せて回していた。あれも、今思えば、工夫をこらした行進曲であった。

浜松市立広沢小学校にはトランペット鼓笛隊があり、高学年になったら入ろうと決めていた。入るタイミングが遅れたのかトランペットには入れず、最初はシンバル、次は大太鼓、遊びでバリトンを吹かせてもらった。西部公民館(現在では西部協働センター)の落成式に招かれて演奏したことを覚えている。

浜松市立蜆塚中学校に進学する際は、吹奏楽部に入ろうと決めていた。入部が決まり、ヤマハのトランペットを7万円くらいで買ってもらった。最初に練習したのは、月曜朝の朝礼で演奏する国歌、校歌、退場用の行進曲「Washington Post」だった。行進曲は時々変わったから、もう、何曲やったかわからない。浜松北高校でも吹奏楽部だった(楽器はホルンに転向)。中学高校の夏休み最大のイベントは吹奏楽コンクールで、どの年も課題曲は行進曲を演奏していたと思う。大学で吹奏楽団に3年間在籍し、米国のThe University of Kansas留学時には、授業の一環として、James Charles BarnesのUniversity Bandに参加、学部レベルのクレジットをもらった。Barnes御大の部屋にはスーザホンが吊るしてあった。

女性ボーカルの曲を作って歌ってもらっていた時に、デモテープを「行進曲みたい」と言われたことがある。あーこれは悪口だな、とわかったが、その時に、行進曲が自分の血肉であることに気付いた。自分としては、それを肯定するしかない。いつかは行進曲を書きたいと考えた。最初に書いたのはこちらにある「マーチ1」(プレビュー可)だ。次に書いたのはマーチ2で、こちらは最後まで聞ける。

ということで、今回紹介するディスク「Morton Gould BRASS & PERCUSSION」(邦題は「星条旗よ永遠なれ~ブラス&パーカッションの饗宴~」)は、いつか買いたいと思っていた。星条旗よ永遠なれ、ワシントン・ポスト、士官候補生、アメリカン・パトロール、どれも演奏したことがある。大好きだった。

ディスクが届いて再生し、驚いたのは、1956年と1959年に、これほどの音で録音していたのか、ということだ。演奏も録音もすばらしい。今どきの吹奏楽のディスクより、よほど本物らしい。私の記憶にあるのは、確かにこの音だ。真夏に冷房のかかった市民会館に入っていった時に聞いた音だ。

トラックの1~17は1956年10月17日、19日、26日の録音で、こちらはLR2チャンネル。トラック18~27は1959年1月22日、23日の録音で、こちらはLRにセンターを加えた3チャンネルである。

解説にはこう記されている。「ホール内にマイクロフォンを右、中央、左と3本置くことによって、最終的に2チャンネル・ステレオにミックスする時に、音楽的なバランスをより自由自在にコントロールできるようになった」「今回のSACDハイブリッド化にあたっては、可能な限りオリジナルの3トラック・テープを用いた」「RCAによる3トラック録音がオーケストラ録音において恒常化するのは1956年以降」。いやこれは知らなかった。そうか、同じマイクを3本用意すべきだったか。

録音も演奏も楽曲もすばらしい。1曲の時間が2分台のもの多く、どんどん変わっていくのも良い。かけ続けて飽きない。

ただ、配偶者に聞かせたところ、「運動会の音楽」「曲の区別がつかない」「トムとジェリーみたいでもある」と言われた。まあしょうがない。

アメリカ合衆国の行進曲が好きな人にお薦めする。

H2

2021年1月23日 (土)

SACD: 舘野泉(Izumi Tateno)「記憶樹(Albero Di Memoria)」

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SACD: 舘野泉(Izumi Tateno)「記憶樹(Albero Di Memoria)」
Avex Entertainment Inc. AVCL-25713 2010年
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル/5.0チャンネル
2018年1月にヤフオク!で購入。730円

懐かしさ ★★
楽曲 ★★★
演奏 ★★★
録音 ★★★★
購入満足度 ★★★

本ブログで取り上げる舘野泉のディスクはこれが4枚目だ。このディスクは、なかなかにわかりにくく、時間をかけて聴く必要がありそうだ。

舘野はブックレットの中で次のように書いている。「前回のCDをリリースしてから、ほぼ4年の月日が過ぎようとしている。4年間の中断があったのは自分としてはかなり珍しい。ただ、復帰後、左手のための新しい作品が次から次へと生みだされ、それを消化吸収し、演奏していくだけでも精一杯という状況にあったことは確かである」。

このディスクには「記憶樹」「風のしるし・オッフェルトリウム」「ディヴェルティメント」の3曲が収められている。2曲目は以前に録音されてディスクになっているが、1曲目と3曲目は新作だろう。いずれも現代曲で、そのことを隠そうとしていない。ポップではない。硬派だ。良さを言葉で表すのは難しい。こういう曲と演奏が、嫌いだという人もいるだろう。

録音は、Sello Hall, Espoo, Finlandで行われた。ピアノはSteinway D-274 No. 562404だ。ヨーロッパのエンジニアのピアノの的確なとらえ方には感服する。いい音だ。

何度も再生して、少しずつ感じていくしかないかな、というディスク。広く薦められるディスクではないが、自分では、買えて、聴けて、よかったと思う。

H2

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