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2020年8月13日 (木)

DVD-Audio: Keith Emersonほか「Music From The Motion Picture GODZILLA FINAL WARS("ゴジラFINAL WARS" オリジナル・サウンドトラック 5.0chリミテッドエディション)」

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DVD-Audio: Keith Emersonほか「Music From The Motion Picture GODZILLA FINAL WARS("ゴジラFINAL WARS" オリジナル・サウンドトラック 5.0chリミテッドエディション)」
Toho Music Corporation/Victor Entertainment, Inc./Toho Pictures, Inc./Toho Co., Ltd. 2004年 VIAP 60003
DVD-Audio、サラウンド5.0チャンネル、ステレオ2チャンネル、いずれも44.1kHz24ビット
2020年8月にヤフオク!で購入、1400円

懐かしさ ★★★★
楽曲 ★★★
演奏 ★★★
録音 ★★★
購入満足度 ★★★★

「GODZILLA FINAL WARS」という映画はひどかったという記憶がある。テレビで放映されたのを観たのか、レンタルDVDで観たのか記憶がはっきりしないのだが、かなりひどかった。

怪獣映画の主役は怪獣で、鑑賞する側としては、じらされてじらされて怪獣が登場した時がカタルシスである。それが「GODZILLA FINAL WARS」では多くの怪獣が無造作に登場し、一つひとつの映像がまた安っぽい。そこであきれて、あとは時間潰しになってしまった。

とはいうものの、ゴジラ映画に駄作が多いのは伝統である。それがどうした、という気もする。

GODZILLA FINAL WARSはゴジラ生誕50周年の記念作で、一連のシリーズの最後を飾る作品であった。「船頭多くして船山に上る」という格言もある。制作の過程は阿鼻叫喚であったろうと想像する。音楽を担当したキース・エマーソンは、制作時間が十分でなかったため、十分な仕事ができなかった、と語っていたという情報がインターネットのどこかにあったような気がする。さもありなん。

たぶん、キースに頼んだものの時間が足りず、キースからあがってきたいくつかの音を参考に、森野宣彦と矢野大介がなんとか作り上げたんだろう。このディスクのトラック24~29には、キースの演奏で、劇中で使用されることがなかった楽曲がボーナス・トラックとして収録されている。そのままは使えないけれど、やり直してもらう時間もなかったんだろう。

というような状況を想像した上で聴くと、森野と矢野はいい仕事をしている。全体を通して聴いて、キースの演奏と、森野、矢野の演奏にあまり違いが感じられない。音楽全体の統一感を、なんとか確保できている。

キースの演奏したトラックは15個ある。それだけを並べて聴くと、なかなかに味わい深い。キースがゴジラ音楽に、まじめに取り組んでくれている、という事実が胸を打つ。

44.1kHz24ビットの5.0チャンネルサラウンドは珍しい形式で、どうしてこんな選択をしたのかわからないが、音質は悪くはない。

ゴジラが好きで、キース・エマーソンが好きなら、ぜひどうぞ。私自身は、このディスクを入手できて、とても嬉しい。上の写真はボックスであるが、ブックレットの写真も示しておく。購入する際は、CDを買うのか、DVD-Audioを買うのか、よく確認することをお勧めする。

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H2

SACD: 冨田勲(Isao Tomita)「ダフニスとクロエ(Daphnis et Chloé)」

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SACD: 冨田勲(Isao Tomita)「ダフニスとクロエ(Daphnis et Chloé)」
Vocalion Ltd 2019年 CDSML 8554
SACD/CDハイブリッド、サラウンド4.0チャンネル、ステレオ2チャンネル
2020年8月にヤフオク!で購入、2780円

懐かしさ ★★★
楽曲 ★★★
演奏 ★★★
録音 ★★★★
購入満足度 ★★★★

このSACDは2019年にリリースされた。冨田勲が1979年にLPレコードを発表した「ダフニスとクロエ」のマスターテープを基に、Michael J.DuttonがマスタリングをしてSACD化している。

同じレーベルから出た冨田勲「火の鳥」(記事はこちら)は、1975年録音、1976年リリースである。「ダフニスとクロエ」は1979年録音・リリースだ。2枚のディスクの背面を読むと、その4年で、冨田勲が使う機材が大幅に増えたことがわかる。それによって、火の鳥とダフニスとクロエでは、音の違いが生じている。

ポリフォニックシンセサイザー、ストリングスマシンといった、同時に複数の音を弾ける電子楽器が導入されている。ローランドの4音ポリフォニックシンセサイザー「JUPITER-4」、ストリングスマシン「RS-202」、ボコーダー+ストリングス「VP-330」(「Vocoder Pulse」と書かれているが「Vocoder Plus」が正しい)、ヤマハの8音ポリフォニックシンセサイザー「CS80」、ストリングスマシン「SS30」、コルグのボコーダー(クレジットされていないが「VC-10」だろう)、メロトロンである。

Moogモジュラーシンセサイザーは「Ⅲp」と「System 55」などがクレジットされている。ローランドのSYSTEM-700もある。ローランドのデジタル・シーケンサー「MC-8」もある。

こうして見てくると、私がシンセサイザーに興味を持ち、冨田勲のスタジオの写真を初めて見たころのラインナップではないかと思う。懐かしい。

火の鳥ではクレジットされていなかったが、ダフニスとクロエでは、dbxノイズリダクションの使用がうたわれている。テープレコーダーも、メインの「Ampex MM 1100」(16トラック)は変わっていないが、ティアックの16トラックと8トラック2台など、追加が目立つ。

以上のような機材の拡張があり、ダフニスとクロエの音は、火の鳥に比べ、音のパレットの色数が増えている。音も多い。ノイズはよく抑えられていて、弱音と強音の差も大きい。

一方で、Moogのモノフォニックを弾いていたころの「一音入魂」は薄まっている。dbxノイズリダクションはノイズを抑えるのに大きな貢献をするが、音が若干平板になるという印象を、私は持っている(dbxノイズリダクション付きの高価なカセットデッキを買って使っていた時期があった)。

そんなわけで、ダフニスとクロエの演奏と録音は、冨田勲にしては、最高のものとは言えないかなぁ、と思う。これはこれでいい音なんだけれど。

冨田勲のファンなら、買っていいと思う。1979年の冨田サウンドを、ちゃんと4チャンネルで聴ける。4チャンネル分、ある程度大きなスピーカーを用意して、お楽しみいただきたい。

H2

 

2020年8月 9日 (日)

SACD: 冨田勲(Isao Tomita)「火の鳥(Firebird)」

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SACD: 冨田勲(Isao Tomita)「火の鳥(Firebird)」
Vocalion Ltd 2019年 CDSML 8558
SACD/CDハイブリッド、サラウンド4.0チャンネル、ステレオ2チャンネル
2020年8月にamazon.co.jpで購入、1800円

懐かしさ ★★★
楽曲 ★★★
演奏 ★★★★★
録音 ★★★★★
購入満足度 ★★★★★

このSACDは2019年にリリースされた。冨田勲が1976年に発表した「火の鳥(The Firebird)」のマスターテープを基に、Michael J.DuttonがマスタリングをしてSACD化している。1976年のアナログレコードはSQ4チャンネルであったろう。

私が少年であった1970年代。家に「驚異の4チャンネルSQサウンド」という4枚組があった。NHKの「オーディオ入門」のテキストを買って、日時を調べてテレビの前に座っていた私は、4チャンネルの音をいつか聴いてみたいと思っていた。とはいうものの、その4枚のためにステレオセットに投資してくれとは、父にはとても言えなかった(というか、中学入学のお祝いに、自分の部屋で自由に使える、アイワのでかいラジカセを買ってもらったんだった)。

夢の4チャンネル再生が、今になってかなうとはねぇ。

冨田勲の火の鳥はCD化はされていたが、SACDは今回が初である。他のレコードは冨田勲本人によってDVD-Audio化やSACD化がされているものが多い。それらはもちろん悪くはないのだが、本人は過去の本人に対してあまりリスペクトを抱けないものなので、ついつい改良、改変してしまうものである。その点、今回のvocalionによるSACD化は、過去の音源に対する敬意が十分に感じられる出来で、新たなやり方を提示したと言える。

4.0チャンネルでSACD化するか、5.0チャンネルか、5.1チャンネルか、といった選択は、難しい。

今回の火の鳥は、オリジナルママの4.0チャンネルだ。1970年代のステレオセットは、3ウェイのフロア型や巨大ブックシェルフ(スタンドを別に買えという意味だ)が最上級とされており、そうした大きいスピーカーを4個並べるというのが当時の理想のシステムであっただろう。

そんなわけで、今回の火の鳥は、フロントLRとサラウンドLRに、それなりに大口径で大出力のスピーカーがある状況でないと、本来の音では鳴らない。フロントLRがヤマハNS-10M、サラウンドLRがBehringer B2030Pという組み合わせで鳴らしたところ、どうも物足りなかった。フロントLRがGenelec 1031A、サラウンドLRがBehringer B3031Aという組み合わせにし、座る位置を調整して、やっといい音になった。

1970年代の冨田勲を、結局、誰も超えられなかったのかも、と思わせる、すばらしいシンセ音楽だ。

一つだけ難癖を付けるとすると、フォルテシモがもう少し大きくてもよかったのではないかと思う。

私がストラビンスキーの火の鳥を初めて聴いたのは、自分が所属していた吹奏楽団の演奏である。フィナーレの部分だけだが。昔は、楽譜を渡されて、その曲を他の人が演奏するのを一度も聴かないまま、練習するというのはよくあることだった。火の鳥のフィナーレは、唇がへろへろになるまで息が上がるまで吹き続けるものだ、と思い込んでいるので、今回のディスクの火の鳥のフィナーレは、あっさりしているように感じる。やれやれ。

マスタリング時に、リミッターかけちゃったのかなぁ。

フォルテシモを大きくするということは、他を小さくするということと同義だからなぁ。

何はともあれ、このディスクを作ってくれたvocalionを、大いに称えたい。

手持ちのオーディオシステムに自信があるオーディオ愛好者にお薦めする。また、シンセサイザーを志す人は、このディスクを納得いく音で再生できる環境を整えることから始めてもいいかもしれない。それほど素晴らしいディスクだ。ステレオ2チャンネルも悪くはないが、できればSACDの4チャンネルを聴いていただきたい。

H2

Oppo Digital UDP-203のファームウエア更新(2回目)

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Oppo DigitalのBDプレーヤー「UDP-203」を押し入れから取り出し、ファームウエアの更新を行った。前回はネットワーク経由ではうまくいかなかったが、今回はネットワーク経由で更新できた。

まずは現在のバージョンの確認。

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「20XJP-60-0625」である。ネットワーク経由での更新を試みたところ、うまくいきそうな画面が現れた。

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20XJP-65-0131が利用可能であるという。ファームウエア情報ページに記載されている、2019年2月8日公表のバージョンだ。リモコンで「はい」を選んで「決定」を押すと下の画面に進んだ。

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長時間待った、という感覚がないままに、下の画面が出た。

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画面が消えるが電源を切るなよ、という警告画面。「確認」を選んで「決定」ボタンを押した。最初の写真は、その後のもので「UPGRADING」と表示している。

再起動してバージョンを確認。

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うまくいったようだ。

今使っているBDP-103が壊れたら、UDP-203を使うつもりでいる。もちろん、壊れないでくれたら、それに越したことはない。amazon.co.jpのリンクを見ると、取引価格が高騰しているようだ。

H2

SACD: 渡辺香津美(Kazumi Watanabe)「Guitar Renaissance」

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SACD: 渡辺香津美(Kazumi Watanabe)「Guitar Renaissance」
ewe records 2003年 EWSA 0074
SACD/CDハイブリッド、サラウンド5.1チャンネル、ステレオ2チャンネル
2016年7月にブックオフで購入、1780円

懐かしさ ★★★
楽曲 ★★★★
演奏 ★★★★★
録音 ★★★★★
購入満足度 ★★★★★

渡辺香津美のディスクについては、こちらで「mo' Bap」を紹介している。Guitar Renaissanceシリーズとmo' Bapシリーズは、SACDの歴史における、また渡辺香津美のディスコグラフィーにおける、大変に価値のあるシリーズであると思う。とにかく音が良い。

このディスクはレビュー記事を書きにくく、長い間放置してきた。

ネット検索をしていたら、オフィシャルな情報ページ を見付けた。そこには、本人のコメントがあった。

上の音声ファイルで問題なのは、後半、本人が過去に書いたコメントを朗読している部分で音が飛ぶことだ。どうやったらこんなMP3ファイルを作れるのか疑問だ。オフィシャルな情報ページには楽曲の一部のMP3ファイルもあるが、この音飛びはさらにひどく、聴くに堪えない。

渡辺香津美は天才である。音楽における天才の要件は、出す音が人並みはずれて美しいこと、そして、本人が意図している以上のことが音に入ってしまうことではないだろうか。無造作にぽろんぽろんと弾いているのか、真剣に細かく考えてやっているのか、混然一体となって判別できない。

天才が深夜に自宅の部屋でぽろんぽろんと弾いていた音楽の再現がこのディスクであり、それを聴けることは何にも優る幸福だ。

眠い時に布団に寝ころんで聞いていたら眠りそうになった。「いい音楽ってのはよく眠れるなぁ」という友人の言葉を思い出した。頭がはっきりした時に聞くと、再生装置をいろいろ切り替えるたびに一味違った良い音が現れ、目が覚める思いがした。Auratone 5Cで鳴らすとまたよかったりするのだ。楽曲が変わるたびに異なる情景が現れて、うっとりする。

2チャンネルステレオは12曲あるが、5.1チャンネルサラウンドは5曲だけで、曲順も異なる。通して聴いた時の印象は、2チャンネルと5.1チャンネルで異なる。できれば、全曲5.1チャンネルで収録してほしかった。何か、そうできなかった理由があるのだろうか。あるかもしれない。

自宅の音響装置でSACDの鑑賞を楽しんでいるのであれば、必携の1枚。SACDの再生環境を持っている人がCD版を買うと悲しいと思うので、購入する際は十分にご注意いただきたい。

H2

2020年7月26日 (日)

DVD-Audio: 冨田勲(Isao Tomita)「惑星 2003(The Planets 2003)」

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DVD-Audio: 冨田勲(Isao Tomita)「惑星 2003(The Planets 2003)」
Plazma Music 2003年 COAQ-15
DVD-Audio、サラウンド4.1チャンネル、96kHz24ビット
2020年7月にヤフオク!で購入、2300円

懐かしさ ★★★★★
楽曲 ★★★
演奏 ★★★★★
録音 ★★★★★
購入満足度 ★★★★★

冨田勲の惑星については、こちらでSACDの「惑星 ULTIMATE EDITION」を紹介している。2003年にDVD-Audioが出て、2011年にSACDが出た。SACDを聴いて、LPレコードで聴いた2チャンネルの記憶とイメージが違うなぁ、と思ったので、2003年のDVD-Audioも聴いてみたいと思っていた。入手できて、本当に嬉しい。

2003年のDVD-Audioは4.1チャンネルで、2011年のSACDは4.0チャンネルだ。SACDは再生するのに手間がかかったが、DVD-Audioの方は、普通にAVアンプで再生して、普通にまともな音がする。楽でよい。

2011年のSACDは音が足され、曲が挿入され、昔のレコードとは大きく違うものであったが、2003年のDVD-Audioでは音は加えられていないようだ。「今回のアルバムは、ほとんどMOOG IIIアナログシンセサイザーによる音源とアナログシーケンサーを使用しています」と記されている。それでも、昔の記憶に比べると、聞こえなかった音が聞こえてきたように思う。

うんうん。こうだよね、と思う。アナログレコードを聴いた時は、2チャンネルでこれだけすごいんだから、4チャンネルってもっとすごいんだろうなぁ、と思った。それが、やっと聴けた。嬉しい。

昔の記憶だと、ここはもっとどかーんと来たような気がする、というのはある。2チャンネルだし、アナログレコードだからカッティング段階でコンプレッションがかかったろうし、それをカセットテープにダビングする際にもコンプレッションがかかったはずなので、それで違うのかも、と思う。

このDVD-Audioで惜しいことの一つは、2チャンネル音声が収録されていないことだ。ダウンミックスで聴くしかない。ただ、やってみたら、記憶のイメージにかなり近かった(当たり前と言えば当たり前だが)。最初から最後までぶっ通しで再生して、聞き惚れてしまった。

もう一つ惜しいのは、このDVD-Audioディスクの入手が難しくなりつつあることだ。いろいろな音が、消えていってしまうなぁ。

H2

2020年7月25日 (土)

CD+DVD-Audio: Emerson, Lake & Palmer「Emerson, Lake & Palmer」

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CD+DVD-Audio: Emerson, Lake & Palmer「Emerson, Lake & Palmer」
Leadclass Limited under exclusive license to Sony Music Entertainment UK Limited 2012年 LC12723
2CD+DVD-Audio(5.1チャンネルサラウンド、ステレオ2チャンネル、いずれも48kHz24ビット)
2020年7月にヤフオク!で購入、1800円

懐かしさ ★★★
楽曲 ★★★★
演奏 ★★★★
録音 ★★★★
購入満足度 ★★★★★

シンセ弾きでKeith Emersonを知らない人も、今はいるんだろうけれど、私がシンセサイザーに憧れた1970年代には、Keith Emersonは偉大な存在の一人であった。家には姉が購入した「Tarkas」のLPがあり、これはどうも理解しがたかったけれど、後に小遣いをためて自分で購入した「In Concert」は大好きだった。Peter Gunnのテーマは簡単だったので自分のバンドで練習曲にしていた。

そんなわけで、ELPのハイレゾ音源を一つくらいは買いたいと思っていたのだった。

シンセサイザーは本格的に導入されていない。ディスク1の「Tank」ではエマーソンの「シンセ弾き始め」が興味深い。他の曲ではピアノが目立つ。美しい(ところどころ歪みっぽいが、私としては許せる)。オルガンもけっこう積極的に使われていて、John Lordとはまた違った妙技が聴ける。後のスタイルが確立されつつある様子がうかがえる。

5.1チャンネルはセンターヘビーでちょっと驚いたりもするが、聴いていて楽しい。フロアノイズは抑えられている。5.1チャンネルサラウンドとステレオ2チャンネルで曲目が違うし、さらにCDも2枚あるので、全部聴くには時間を要する。

年を取ると、若い時に聴いていた音楽、もしくは若い時に聞けなかった音楽を聴きたくなるものだ。入手できて嬉しい。

H2

 

2020年7月23日 (木)

SACD: The Gadd Gang「Here & Now」

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SACD: The Gadd Gang「Here & Now」
Sony Music Japan International Inc. 1988年 SICP 10103
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル
2020年7月にヤフオク!で購入、1800円

懐かしさ ★★
楽曲 ★★★
演奏 ★★★
録音 ★★
購入満足度 ★★★

The Gadd Gangのアルバムは、1986年録音の「The Gadd Gang」と1988年録音の「Live at The Bottom Line」を以前に取り上げた。今回取り上げる「Here & Now」は1988年3月の録音で、Live at The Bottom Lineは1988年9月22日の録音なので、Here & Nowを作ってから、Live at The Bottom Lineが行われたことになる。

再生して、音が細く硬く高域落ちして余韻も描き切れていないように感じた。マルチトラックレコーダーがソニーPCM-3324で、マスターレコーダーがPCM-3402であるという。マスターレコーダーも44.1kHz/48kHzの16ビットなのか、と思う。

このところPCM-3324を嫌っているのだが、だったら「The Gadd Gang」はどうだったのかと見ると、これもPCM-3324である。ただ、The Gadd GangのSACDは、2007年にサラウンドミックスと2チャンネルミックスをやり直していて、2007年ミックスとオリジナルミックスの両方が収録されていて、私は主に2007年ミックスを聴いていたのだった。再度かけてみたが、2007年ミックスの音は適度に丸みをおび、SACD対応の音になっている。

Here & Nowの場合、マスタリングはやり直しているが、再ミックスはしていない。The Gadd Gangの方が、手間ひまお金をかけて作られたことがわかる。

ということで、PCM-3324だから絶対に悪い、ということでもないようだ。

楽曲はスタンダードなものが多く、ちょっと泣きそうになる。演奏は、トランペット、トロンボーン、テナーサックス奏者がゲスト参加しており、レギュラーメンバーとなったRonnie Cuberと共にホーンセクションを構成している。前作にない試みであるのだが、全体の音がビッグバンドっぽくなり、自由に演奏している感じが少し損なわれたように思う。

音質も演奏も、他のアルバムに比べて一歩譲る出来だけれど、でも、評する気持ちでなければ聴いていて楽しいし、鍵盤弾きの私はリチャード・ティーのプレイに学ぶことが多い。The Gadd Gangが好きな人は買っていいと思う。CDで十分かもしれないけど。

H2

SACD: Tony Williams Trio「Young At Heart」

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SACD: Tony Williams Trio「Young At Heart」
Sony Music Entertainment (Japan) Inc. 1996年 SRGS 4516
ステレオ2チャンネル
2020年7月にヤフオク!で購入、1500円

懐かしさ
楽曲 ★★★
演奏 ★★★
録音 ★★★★
購入満足度 ★★★★

トニー・ウィリアムスは若い時からマイルスの楽団で活躍した天才ドラマーだ。「Young At Heart」は、トニーが遺した唯一のピアノ・トリオ作品で、また、遺作でもある。11曲、1時間9分におよぶ演奏を披露しており、ピアノ・トリオの音楽を堪能できる。

Paul Migiloratoは解説で「this is Sony's first use of its Direct Stream Digital recording technology」と書いている。レコーディングスタジオの白黒写真が掲載されており、パッチベイの手前に量産品とは思えない録音機とノートパソコンが写っている。ミックスについてのクレジットがないので、2チャンネル1発録りだったろうと推測する。

岩浪洋三は解説で「録音のよさも手伝って、演奏のすばらしさが一段と輝きを増している。これが<MASTER SOUND>(DSD:ダイレクト・ストリーム・デジタル/SBM/PDLS/ULTレーザー・カッティング・システム)のよさなのであろうか」と書いている。1996年に発売されたのはCDで、DSD録音しても、その良さをストレートに商品化することはできなかった。

今私が聴いているのは、1999年に発売されたSACDだ。「DSD Recording」のロゴが誇らしげに示され、「このSACDは、オリジナルからすべてDSD方式で録音されています。100kHz迄もの広い周波数範囲の音をお楽しみ頂けます」と記されている。

このところ、SACDを聴いて、うわー、デジタルマルチトラックレコーダーの音がCDみたいだ、と思うことが何回かあったのだが、この「Young At Heart」はそういうことがない。さすがDSDレコーディングである。一発録りであるせいかバランスは細かく追い込めておらず、心なしかドラムの音量が控えめであるが、まあ、主役が前面に出てくる必要もないので、これはこれでよい。

曲も演奏も、図抜けたものではないが、それでも、ピアノ・トリオの最良のものの一つだと思う。こういうディスクが、日本で作られたことを誇りとしたい。入手できそうなら、ぜひお聴きいただきたい。

H2

 

2020年7月22日 (水)

CD+DVD-Audio: Dream Theater「Dream Theater」

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CD+DVD-Audio: Dream Theater「Dream Theater」
Roadrunner Records, Inc. 2013年 WPZR-30479/80
CDステレオ2チャンネル+DVD-Audio サラウンド5.1チャンネル/ステレオ2チャンネル(いずれも96kHz、24ビット)
2020年7月にamazon.co.jpで購入、1074円

懐かしさ
楽曲 ★★★
演奏 ★★★
録音 ★★★★★
購入満足度 ★★★★★

私はシンセ弾きの端くれで、シンセの動画を見ていてJordan Rudessの存在を知った。Dream Theaterというバンドのキーボーディストであると知り、以前、図書館でDream TheaterのCDをいくつか借りてきて聴いたのだが、ぴんと来なかった。まあ今後、聴かなくてもいいかなと思っていた。

このところ、原点回帰の意味も込めて、Deep PurpleのCD10枚ボックスセット「The Complete Albums 1970-1976」を聴いている。買ったのに全部聴いてはいなかったのである。

まじめに聴くのは大変で、年代順に聴いているのだが、Concerto for Group and OrchestraはJohnのやっていることがEL&Pみたいで涙が出そうで、In Rockはちゃんと王道回帰していて、Fireballはがんばっていて、Machine Headがやっぱり音がよくて、Made In Japanもなかなかに見事で、Who Do We Think We Areは評判の悪い1枚だけれどJohn Lordのファンである私としては、これはやっぱりお気に入りだなぁ、などと考えていて、まだ最後まで到達していない。

Deep Purpleの情報を収集していて、Deep Purpleがまだ活動していることを知って驚いた。えらい根性だ。また、Jordan Rudessが一瞬だけ、サポートメンバーとして参加したことも知った。Jordan Rudessをもう一度聴いてみるかと思った。

そんな時に、DVD-Audioが安く出ていたので購入した。それがこの「Dream Theater」である。

このアルバムは、通常の音楽CD1枚と、DVD-Audio1枚が入っている。CDの方に1曲ボーナストラックがあるが、それを除く9曲はCDとDVD-Audioの両方に収められている。DVD-Audioには、96kHz、24ビットで、2チャンネルと5.1チャンネルの両方が入っている(5.1チャンネルはリニアとドルビーデジタルの両方が入っているようだが、よくわからない)。

Richard Chyckiがミックスを、Ted Jensenがマスタリングを担当している。ただ、Richardは、2チャンネルミックスを米国ニューヨークのGermano Studiosで行い、5.1チャンネルミックスを加トロントのStreet of Dreams Studiosで行っている。設備に若干の違いがあったのかもしれない。スケジュールの問題だけかもしれないが。

で、ここで言いたいのは、ロックのアルバムにおいて、2チャンネルミックスと5.1チャンネルミックスを同じ人がほぼ同時に作る例は、極めて少ないのではないかということだ。44.1kHz、16ビットと96kHz、24ビットの2チャンネルミックスが同時に作られ、それが1パッケージで提供される例も、極めて少ないと思う。クラシックだとそんなに珍しくないけれども。

メジャーなロックミュージシャンの音を、44.1kHz16ビット、96kHz24ビットのステレオで聴き比べられる、さらに96kHz24ビットの5.1チャンネルサラウンドも聞き比べられるという点で、このアルバムは、オーディオ好きでDVD-Audioの再生環境を持つ人には必携のものであると思う。

私が最初に再生したのは5.1チャンネル版である。リアがけっこう大きく、サブウーハーが小さいのに驚いた。クラシックだと、ここまでリアを大きくしないんだよなぁ。

サブウーハーは、どんどこどんどこ鳴らすこともできたと思うのだが、RichardとTedはそれを選ばなかった。もともとの音楽の味わいとして、どんどこどんどこではない、という判断であったのだろう。

低域を大きくすれば、いいステレオセットでは迫力が増すけれども、低域を大きくしたら他を小さくせざるを得ないので、ラジオやカーステレオで聴くことを考えると、低域を過大にすべきではない。コマーシャルな意味では、この程度の低域が適切であり、CDをそうしているので、DVD-Audioの方も、それと大きく異なったバランスにはしなかったのだろう。

Deep Purple全盛期(1970年代)のハードロックと、それ以降のロックで何が違うか。技術的に大きく違うのは、ツインバスドラムとツインペダルであろうと思う。バスドラムを、8分で連打するのを延々と続けたり、場合によっては16分の連打もできるようになった。と同時に、スネアやタムの叩き方も、細かい連打が増えたと思う。高度になったというか、うまくなったというか。

で、そんなにたくさん叩くのであれば、低域をあまり多くする必要もないのよね。

以上のように、ロックの変遷とバランスの変遷を考えさせられた。

5.1チャンネル版を最初に聴いたのはとてもよかった。2チャンネルに比べて音を置く場所の選択肢が豊富なため、うまく音を散らして配置してくれていて、2チャンネルよりも聴きやすい。Deep Purple以後のロックは音数多過ぎ、と思うことがままあるのだが、その音数の多さを、5.1チャンネルがうまく緩和してくれた。

5.1チャンネルを聴いた後で2チャンネルを聴くと、なんか、納得できる。自分が2013年のロックを聴けるようになったことが嬉しかった。

Deep Purple以後で変わったことをもう一つ挙げれば、拍子の変化が激しい点であろう。それによって、ロックの踊り方も変わったのだろう。ビートに合わせて踊るんじゃなくて、大音量に身をゆだねてたゆたう、みたいな。

この拍子、覚えるの大変だろうなぁ、と思う。記憶力が乏しい私には、とても無理。

ロックも、高度になったなぁ。しみじみ。

5.1チャンネルの音は、他ではなかなか聴けない高い質のものであると思う。2チャンネルの96kHz24ビットは、44.1kHz16ビットと比べた場合、A/Bテストをして正解できる自信はないけれども、自分で選んで再生する場合は、96kHz24ビットの方が、心なしか高音質に感じられる。高音質で聴いた方が飽きが来ないというメリットがあるので、2チャンネルの96kHz24ビットも、ぜひお試しいただきたい。

H2

 

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