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2021年11月26日 (金)

Roland UA-S10のCD音質に驚く

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このところ、2枚音楽CDを購入した。届いてOppo Digital BDP-103で再生して、音が良くないことに驚いた。これまで持っていたWAVデータと同じ曲があり、パソコンからUA-S10で出力した音に慣れていたのだが、同じ曲が入ったCDをBDP-103で聴くとぱっとしないのだ。

UA-S10のコントロールパネル(上図)の右上端には「1bit」というボタンがあり、2チャンネル再生時には、原則そこをオンにして使う。CD由来の44.1kHz、16ビット、2チャンネルのデータは、UA-S10の機構によって1ビット化されて再生される、らしい。で、その方が、BDP-103でCDを再生するのより音が良い。

音楽CDはリッピングして聴くべきだということか。うーむ。

SACDは、BDP-103でも十分良い音がすると思う。DSDデータをUA-S10で再生する際は、もともと1ビットデータなので、1ビット化の処理は行われないはずだ。

これまで、BDP-103で音楽CDを再生することは、あまりなかった。

オーディオの世界は大変だわ。

H2

 

2021年11月 4日 (木)

SACD: 辛島文雄&ケイ赤城(Fumio Karashima & Kei Akagi)「グランド・ニュー・タッチ(GRAND NEW TOUCH)」

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SACD: 辛島文雄&ケイ赤城(Fumio Karashima & Kei Akagi)「グランド・ニュー・タッチ(GRAND NEW TOUCH)」
Pit Inn Music Inc. VAGM-1001 2003年
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル
2021年10月にヤフオク!で購入。1211円

懐かしさ ★★★
楽曲 ★★★
演奏 ★★★
録音 ★★★★
購入満足度 ★★★

SACDなどのハイレゾ・ディスクを時々購入する。オークションでは、買うタイミングを自由にできないので、複数のディスクが同時に家に届くことがある。SACDプレーヤーにかけてSACDとして再生できることを確かめて、棚にしまう。今回は、複数届いたディスクの中で最後にかけたのがこの「GRAND NEW TOUCH」で、そのまま聴き続けた。私にとっては、引き込まれるディスクであったということだ。

トラック1「Someday My Prince Will Come」、トラック3「Autumn Leaves(枯葉)」、トラック5「Summertime」はピアノ二重奏で、トラック2「Playroom」はケイ赤城のオリジナルで本人による独奏。トラック4「Tony Williams」は辛島のオリジナルで本人による独奏である。

グランドピアノ2台を向かい合わせ、蓋を取り去る、というのがピアノ二重奏の、ライブにおける一般的なセッティングである。会場で視聴している人にとっては、どちらが何を弾いているのかをある程度目で判断できるから、そのセッティングはさほど問題がないと思う。

ただ、そのセッティングでは2台の音がほぼ同じ位置に定位して混ざるから、それをそのまま録音して音楽ディスクにすると、どの音がどちらの奏者によるものなのか、皆目見当が付かないことになりかねない。

このディスクの録音をした人は、さすがにそれはまずかろう、ということで、ピアノのそれぞれに、高音域、低音域を狙ったオンマイクを2本ずつ立てている。ディスクで聴くと、左寄りに辛島のピアノの音が、右寄りに赤城のピアノの音が入っている。ステレオスピーカーのセンターに座って聴くと、どちらのピアノが鳴っているのかを、まあまあ判別できる。この定位は好ましいし、残響の質と量も適度である。ダイナミックレンジも、ほどよく調整されていて、聴きやすい。録音はけっこう良いと思う。

2002年という年に、ジャズピアニストという人がまだ存在していることが嬉しい。解説文は「両者の奏法の基盤となっているのは、バド・パウエルを出発点にセロニアス・モンク、(中略)を経て発展してきたモダン・バップ奏法だ」と記している。私は高校生の時に自分のバンドを組んだが、それはピアノ・トリオであったから、ビバップの影響を受けていないとは言えない。ビバップ的な弾き方はうまくできないし、それを習得しようとして努力したかというと疑問だから、このディスクに出てくるピアノの演奏が好きかというとちょっと首をひねる。とはいうものの、懐かしいことは懐かしい。今でもこういうことをしている人がいるんだなぁ、というのは、私としては嬉しい。辛島と赤城の演奏は確かで華麗で、聴きごたえがある。

というわけで、私は、このディスクを入手できたことを嬉しく思っているし、今後も、再生する機会があるだろうと思っている。

一方で、こんな風だからジャズを聴く人が減ったんだよなぁ、と、暗い気持ちになる1枚でもあった。

Someday My Prince Will ComeとAutumn LeavesとSummertimeのテーマを、冒頭部だけでも口ずさめない人は、このディスクを聴いても、まったく理解できないだろう。モダンジャズの定型として、テーマ→即興→テーマという約束ごとがあるが、トラック1のSomeday My Prince Will Comeの場合、はっきりとテーマが出てくるのは始まって2分後だ。そこまでにもいくつかのシカケがほどこしてあるが、「キンコンカンコン」で微笑むのはジャズの遊びに慣れていないと難しいだろうし、ベースの同音反復はMiles Davisの演奏(ディスク紹介はこちら)が本歌であるのだけれど、それは、本歌を知らないとわからない。

Tony Williams(写真はこちら)だって、多くの人は、誰なのか知らないだろう。

こんな風に考えると、ここまで聴衆を絞って、音楽って成り立つのか?と思ってしまう。snobbishである。演奏後の拍手に熱さが感じられないのも、仕方ない。

ディスクの解説もすごくて、「デュエットの3曲はいずれもマイルス・デイヴィスにゆかりのスタンダード曲で説明の要はないだろう」だとさ。無知な人は聞くな、と言わんばかりである。やれやれ。

私は幼いころ、ウルトラマンとウルトラセブンのテーマにも興奮したが、スーザやグレンミラーにも、多くのジャズにも興奮した。事前の知識を必要としない、ストレートな音楽の楽しさがそこにはあった。

マイルスはもっとポップだったぜ。

ジャズは、遠い遠いところに来てしまい、そこに付いてきてくれる人は、もはや数えられるほどではなかろうか。

この文章をここまで読んで、それでも「ジャズピアノ好きだから」という人にお薦めする。

H2

2021年10月31日 (日)

SACD: 小沼ようすけ(Yosuke Onuma)「The Best」

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SACD: 小沼ようすけ(Yosuke Onuma)「The Best」
Sony Music Japan International, Inc. SICP 10112 2010年
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル
2021年10月にヤフオク!で購入。500円

懐かしさ
楽曲 ★★★
演奏 ★★★★
録音 ★★★★★
購入満足度 ★★★★★

なぜこのディスクを買ったかというと、SACDにしては安かったから、であるのだが、再生して音のイキの良さに驚いた。購入したディスクが家に届くと、プレーヤーに入れて再生し、音が出ることを確かめてそのまましまいこむことが多いのだが、このディスクは最後まで通しで聴こうと思った。と言いつつ、このディスクは74分33秒に16曲を盛り込んだ長いもので、用事があって最後まで一気に聞くことはできなかった。

このディスクはそれより前に発表された、2001年の「nu jazz」、2002年「Summer Madness」、2003年「Jazz'n Pop」、2004年「The Three Primary Colors」、2006年「3, 2 & 1」という5つのアルバムから選曲されたベスト盤である。この人のディスクをもっと欲しいなぁ、と思い、それでも重複するアルバムを買うのはためらわれ、とりあえず、重複がない2007年「Beautiful Day」と2010年「Jam Ka」を注文した。それ以降にもアルバムは3点リリースされているが、残念なことに、Jam Kaより後のアルバムはSACDではない。

今書いているこの文章を、書き始めるのは億劫だった。このディスクのどこが良いのか、考えがまとまらなかったからだ。数日間再生を続け、まじめに聴いたり、ふまじめに聴いたりして考えた。

このディスクの一つの魅力は音の良さだ。音量を下げてもまあまあ聴けるけれども、少し音量を上げると素晴らしい。トラック3はギターだけの演奏で始まり、「さー」っとノイズがかぶるのだが、それがリアルで気持ちよい、と感じるほどに、全体として音が良い。SACDだから良いのか、CDで聴いても良いのか、それは試していないので不明。

Wayne Shorterが「ジャズとは何か?」と問われ、「ヘイ、お前にこれができるかい?」であると答えたインタビュー記事を読んだ記憶がある。ジャズに必要なのは、何がしかの自己顕示欲、他の人がやっていないことをやろうという開拓者の気持ち、そしてもちろん、他の人が何をやってきたかを学ぶ何がしかの謙虚さであるということだろう。小沼ようすけがこのディスクで示した音は、しっかりと、ジャズであると思う。それも、このディスクを気に入った理由の一つだ。

トラックごとに違う世界を見せてくれるバリエーションの豊かさも、このディスクの魅力だ。トラック6はWeather Reportの最初の曲「Milky Way」みたいだし、トラック10は絶妙な8ビートのベースが、そっくりそのままとは言わないが、一時期のMiles Davisを連想させる。トラック11は往年のヒット曲で懐かしい。トラックごとに違うものが示されて、楽しく聴ける。

短いフレーズの反復がよく出てくるのも、私としては好きだし、参考になる。今っぽいと感じる。

こういう、宝物を見付けたような嬉しさがあるから、ディスクを買うのをやめられないんだよなぁ。

H2

2021年10月30日 (土)

ディスク棚の並べ直しを決行

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棚に並べているSACDなどのディスクが乱雑で、選んだり探したりするのが困難になっていた。買い足したものはうまく棚に入らないので、手前の空間に平積みしたりするから、わけが全くわからない状態になるのだ。観念して、棚にあるものをすべて床に移し、押し入れにある袋も出してきて、SACDなどのハイレゾディスクをなるべく棚に出して、CD類であまり聴きそうにないものを袋や箱に入れて押し入れに入れることにした。

空っぽになった棚の様子が下の写真。

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作りの良い棚とは言えない。板がたわんでいる。棚の左右には、CDとは大きさが違うケース(DVDとかBDとか)を入れており、それは数が多いわけではないので、そのままにした。手前にはボックスを積み重ねている。ボックスは積んでもよかろう。

苦闘数時間。

ミュージシャンごと、レーベルごと、などのようにある程度分類して並べた。

グループとしてSACDの枚数が最も多かったのは、T-SQUARE(The SQUARE)関連であった。

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昔買ったCDが1枚、ここ数年で買ったSACDが22枚。ディスコグラフィを見て年の順に並べて、あれ、BRASILってこんな古いんだ、などとびっくりしていた。T-SQUAREは、クラシックのミュージシャンを除けば、最も多くのSACDを売ったミュージシャンではないか、と思う。ぜひ今後も、極力SACDで新譜もしくは旧譜をリリースしていただきたい。

次に多かったのはSimone Youngだった。

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SACDが17枚あるが、部分的に買った後でまとめ買いしたため重複がある。ブルックナーの2と3と4が2枚ずつあるのかな。まあ、姉にでもあげればよいか、と思っている。

3番目に多いのは冨田勲と小澤征爾だった。冨田勲が下の写真だ。

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SACDが11枚、DVD-Audioが1枚ある。惑星はDVD-Audioの「2003」とSACDの「ULTIMATE EDITION」があるが、この2つは内容が同じではなく、昔聞いたレコードのイメージに近いのはDVD-Audioの方である(こちらにそれらの感想文がある)。

小澤征爾は下の写真だ。

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SACDが11枚ある。オーケストラは複数ある。小澤征爾は、欲しいと思いつつ入手できていないものもいくつかある。

5番目に多いのは渡辺香津美だった。

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SACDが10枚、昔買ったCDが2枚ある。このごろはSACDのリリースをしていないようで、残念である。

感想文を書いたディスクは数十。再生していないもの、封を切っていないものさえある。ぼちぼち聴いていかないとなぁ。

H2

2021年8月28日 (土)

SACD: Pat Metheny「Bright Size Life」

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SACD: Pat Metheny「Bright Size Life」
ECM Records GmbH, Universal Classics & Jazz A Universal Music Company PROZ-1089(ECM 1073)1976年(録音は1975年12月)
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル
2021年8月にヤフオク!で購入。2100円

懐かしさ ★★★★
楽曲 ★★★★
演奏 ★★★★★
録音 ★★★★★
購入満足度 ★★★★★

1976年に発売されたPat Metheny(パット・メセニー)の初リーダー作を、2017年にマスタリングしてSACD化したディスク。ベースはJaco Pastorius、ドラムスはBob Moses。3曲目はギターのオーバーダブだが、他はトリオの演奏である。

ビブラフォン奏者のGary Barton(ゲイリー・バートン)が、1975年12月に書いた解説が、ジャケットの裏面に記されている。元のLPのジャケットの裏面を縮小印刷してあるため文字が小さく、イメージスキャナーでコンピューターに取り込んで読んだ。出会いについては「this kid who looked about forteen(14歳くらいに見えるこの子)」とPatのことを表現している。天才少年だったんだろうなぁ。

ゲイリーの解説は「I personally feel this is a great record and recommend it to everyone. It's positive and hot and simply excellent.(私は個人的に、これは偉大なレコードですべての人に薦められると感じている。ポジティブでホットで、シンプルに素晴らしい。)」という言葉で締めくくられている。

まさにその通り。大変に素晴らしいディスクだ。録音に要した時間は6時間。発売された1976年の売上は800枚であったという。時を経て輝くディスクと言えるだろう。

録音は素晴らしい。左にベース、右にギター、ドラムスは左右に大きく広がって存在する。面白いのは、ベースとギターに余韻(ディレイかな)が多めで、ドラムスがドライに近いことだ。けっこうユニークな音像だろう。

当初Genelec 1031A×2で聴いていて、気持ちベースが小さいかなぁ、ギタリストのリーダーアルバムだから忖度したか?と思った。名プロデューサーのManfred Eicherがそんなことをするわけはなく、Dynaudio BM14Sを加えたら、ベースがうまく広がり、バスドラムが聞こえるようになった。50Hzより下、かなり低いところの情報がしっかり収められているようだ。低域がしっかり聞こえるオーディオシステムで再生することをお勧めする。

パット・メセニーは1978年にPat Metheny Group(PMG)を結成し、シンセサイザーを多用するようになる。それはそれで好きではあるのだが、PMG以前に出していた音がどんなものであったかを、このBright Size Lifeというディスクで知ることができる。

組んでいるのが、早逝したジャコ・パストリアスであるのが泣ける。ジャコは1976年にWeather Reportに加入してスターダムに駆け上がることになるわけだが、このディスクではそれ以前のジャコを堪能できる。まあ、同じと言えば同じなのだが。

パットとジャコの音は、自負を持ちながらも、謙虚さと初々しさを感じさせる。全体として、ハードというよりは美しい。ホットではあるが、ダーティやヘビーではない。ボブは若い才能を優しく支えている。さわやかだ。

過去の名盤をSACD化するというビジネスは、アナログマスターが良い状態で残っているならば、工程は少なく、ほどほどの予算で素晴らしい結果を得られるものであると思う。ただ、マスタリングをどじると、「SACDなのに音が悪い」となってしまうから、作業に慎重さが求められることも確かだろう。このディスクは、いい感じでSACD化してくれたと思う。

44.1kHz16ビットにマッピングされることもなく、アナログレコードにおける埃との闘いも避けられる。SACDをかけて、うーん、マスターテープはこういう音なんだろうなぁ、と思う。

過去の名盤のSACD化は、これからもぜひやっていただきたい。限定版じゃなく、定番として売ってくれるともっと嬉しい。

ジャズが嫌いではない、すべての人にお薦めする。

下のリンクUCGU-9061は、2017年リマスタリングの同一音源を通常版のSACDとして2021年に発売したものであろうと思われる。

H2

2021年7月16日 (金)

SACD: 曽根麻矢子(Mayako Sone)「Chaconne」

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SACD: 曽根麻矢子(Mayako Sone)「Chaconne」
Avex Inc. AVCL-25017 2004年
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル
2021年7月にヤフオク!で購入。810円

懐かしさ ★★
楽曲 ★★★
演奏 ★★★
録音 ★★
購入満足度 ★★★

チェンバロのディスクを買ったことがなく、買ってみた。チェンバロって何か、をネット検索し、ドイツ語だとチェンバロで、英語だとハープシコードであることを知った。そうか、同じものなのね。

1曲目がバッハの「平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第1番 ハ長調:前奏曲」で、最初の「ドミソドミソドミ」を聞いただけで違和感満載になってしまった。そこからタメを作るか!というのがかなりの驚きだった。冒頭部だけでなく、この人の演奏はタメやポーズが多い。

この曲は自分で時々弾くのだが、最後にリタルダンドを入れるのを除けば、インテンポで弾いてきた。テンポの揺れ、ポーズはこの曲の数学的な美しさをそこねると感じていたからだ。下のモノフォニック・シンセサイザーによる演奏は、私が2019年に録音したものである。

BOOMSTAR 5089 plays "Präludium Aus dem wohltemperierten Klavier"

上の私の演奏では、最後のリタルダンドを除き、クォンタイズ(音の頭をコンピューターのソフトウエアで揃えること)をかけている。それはもちろん、多くのクラシックの愛好者の方には理解しがたいことであるとは知っているけれど、でも、私としてはインテンポなわけだ。

そんなわけで、今回紹介するディスクの1曲目を聞いた時はけっこう驚いた。トラック6の「メヌエット ト長調」も最初の部分はよく弾くので、これもまた、いろいろと驚かされるものがあった。

演奏についてはいろいろと驚かされるんだけれども、でもなんというか、「あー、こういう風に弾く手もあるよねー」という点では、気付きと学びをもたらしてくれたので、このディスクと演奏者に感謝している。

さて、このディスクを買おうと思ったきっかけは、「本物のチェンバロのディスクを聴いてみたい」であった。チェンバロはあまり台数のある楽器ではなく、見ると「おお珍しい」と思ってしまう。生演奏を聴いたことはなく、本物を弾いたこともない。

しかしその一方で、チェンバロの音に相当に親しんでいるのも事実だ。1983年に登場したヤマハDX7を私は1984年に買ったが、付属のROM(Read Only Memory)カートリッジ1の19番には「HARPSICHORD 1」という音色があった。1984年の時点で、私はこれを弾いていたはずだ。

ハープシコードの音色はシンセ音色の定番の一つとなった。GM(General MIDI)の音色リストにも入った。昔のシンセの音を紹介する際に録音したものを2点見つけたので、以下で紹介する。2つとも手弾き無修正。

Roland SN-U110-01 "Pipe Organ & Harpsichord"「01-001 HARPSI 1」

Alesis Fusion「B-3 Pluckermann Harpsi」

で、今回のディスクでは、デイヴィッド・レイ氏が1707年のニコラ・デュモンの作品などを参考に作ったチェンバロを使っている(詳しい情報はこちら)。録音はHakuju Hallで行われた。

その録音を聞いた私の感想はというと、そっかー、本物はこんな音なのか、であった。タッチで強弱を付けられないとこういう音なんだな、と思う。タッチで強弱を付けられる偽物を弾いてきたので、ちょっとあっけにとられた。

チェンバロは、そんなに音量が出る楽器ではないと思う。ホールでコンサートをする、という楽器ではないのではなかろうか。だとすると、このディスクのように残響を多くしないで、サロン風のそんなに広くない部屋で、目の前で鳴っているように演出してくれた方がよかったのではないか。ホールで演奏しないで、スタジオの方がよかったのではないか。

そんなわけで、曲も演奏も悪くないのだが、録音は凡庸であると思う。

Avexのクラシックのディスクは、このブログでも複数紹介していて、素晴らしいものもあるのだが、今回のディスクは企画からして凡庸な気がする。

チェンバロに興味がある人にお薦めする。私としては、勉強になるディスク、参考になるディスクであった。弾き慣れた曲、聞き慣れた曲があるのも嬉しかった。

H2

2021年7月 2日 (金)

SACD: 小澤征爾/水戸室内管弦楽団/宮本文昭 他(Seiji Ozawa, Mito Chamber Orchestra, Fumiaki Miyamoto)「R.シュトラウス:オーボエ協奏曲 他(R.Strauss: Oboe Concerto etc.)」

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SACD: 小澤征爾/水戸室内管弦楽団/宮本文昭 他(Seiji Ozawa, Mito Chamber Orchestra, Fumiaki Miyamoto)「R.シュトラウス:オーボエ協奏曲 他(R.Strauss: Oboe Concerto etc.)」
Sony Music Direct (Japan) Inc. DYCC 10097 1999年
SACD/CDハイブリッド、ステレオ2チャンネル
2021年6月にヤフオク!で購入。1200円

懐かしさ ★★
楽曲 ★★★★
演奏 ★★★★
録音 ★★★
購入満足度 ★★★★

私の少年時代はThe Beatlesが世界的ヒットを飛ばした後だった。中学校の下校時に流れる音楽は「Hello, Good Bye」だったし、吹奏楽部は「Ob-La-Di, Ob-La-Da」「Yesterday」「Hey Jude」とかを演奏していた。YMOの「Day Tripper」にもしびれた。高校1年の時にエレクトーン教室に行き「Let It Be」を弾いた。ビートルズの曲は、3曲を今でもピアノのレパートリーにしている。ビートルズは20世紀最高の音楽ではないか、と思っていた。

ところがどっこい。私の子供はビートルズに何の感興も呼び起こされない。反応なし。

そんなわけで、歌詞のある音楽は、一時的なインパクトは大きいが、時代が過ぎると忘れられることが多いのではないか、と思うようになった。「歌は世につれ、世は歌につれ」というわけだ。

そんなことを考えているせいか、上のディスクをかけて、モーツァルトのフルート協奏曲第1番ト短調K.313に一発でやられた。花が咲いているように美しい。続くファゴット協奏曲変ロ長調K.191も感動した。今も演奏され、愛される音楽であり、100年後もそうかもしれない。フルートの工藤重典、ファゴットのDag Jensen、いずれも素晴らしい。

この2曲に比べると、続くR.シュトラウスのオーボエ協奏曲ニ長調は、私は、今ひとつであると感じた。かけておいて嫌な音ではないが、引き込まれるものがあまりない。

モーツァルトって、天才だなぁ、とこのごろ感じる。それを見せてくれる小澤征爾と水戸室内管弦楽団も大したものだ。

ステレオ2チャンネルのみであるが、録音も悪くない。ブックレットに録音についての言及が少ないので、デジタルマルチで録音したのか、アナログマルチなのか、デジタル2チャンネルなのか、アナログ2チャンネルなのかはわからない。1999年の録音だから、デジタルではなかろうか。SACD化に当たってDSDマスタリングをしたという。デジタル臭さはほとんど感じない。うまく処理されていると思う。音量がわりと一定で、家庭でスピーカーを鳴らす際に、あまり神経を使わなくて済む。

自分が音楽を作る場合、それでお金が入るということはないので、できれば、あまり飽きられない、時代と関係が薄いものを作りたい。そういう気持ちがあるから、このごろ、ポップな音楽をあまり聴かないのかもしれない。

モーツァルトが嫌でないすべての人にお薦め。下記の商品リンクはどれがSACDなのかわかりにくいので、SACDを必要とする方は、十分お気を付けください。

H2

2021年6月17日 (木)

SACD: Yo-Yo Ma, Ennio Morricone, Roma Sinfonietta Orchestra, Gilda Butta「Yo-Yo Ma Plays Ennio Morricone」

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SACD: Yo-Yo Ma, Ennio Morricone, Roma Sinfonietta Orchestra, Gilda Butta「Yo-Yo Ma Plays Ennio Morricone」
Sony BMG Music Entertainment SICC 10033 2004年(録音は2003年)
SACD/CDハイブリッド、サラウンド5.1チャンネル/ステレオ2チャンネル
2018年12月にヤフオク!で購入。1600円

懐かしさ ★★
楽曲 ★★★★
演奏 ★★★★
録音 ★★★★★
購入満足度 ★★★★

私が生まれ育った日本から初めて出国したのは1987年で、渡航先は米国だった。

その前の春、私はある吹奏楽団に(まだ)所属していて、そこの女性たちが卒業旅行に行く先輩たちに「成田へ見送りに行きましょうか」と大勢で話しているのを聞いていた。私が成田から出国する時は、だれ一人、見送りに行こうという人はいなかった。いや、実は母が言ったのだが、母の健康状態が思わしくないことは知っていたから、一人で空港へ向かった。米国の空港で迎えてくれる人がいるわけでもなく、大変に心細かったのを覚えている。初めての海外旅行では、いろいろと失敗もした。

目的地はThe University of Kansasで、1987年8月下旬から1988年5月上旬まで、学生寮でソフモア(学部2年生)扱いで過ごした。一応専攻はジャーナリズムであったが、最初の学期はアンダーグラデュエイト(学部レベル)のまともな授業は1つしか受講を許されず、それ以外は外国人向けの英語の授業だった。スピーキング、ライティング、リーディングの授業が続いた。グラマーだけは試験の結果がよく受講しなくて済んだ。

The Unversity of Kansasには芸術学部があり、著名な演奏家を招いてコンサートシリーズが催されていた。生まれて初めてシーズンチケットというものを買った。学生はかなり安価であったと思う。

そのコンサートシリーズに来た演奏家で記憶しているのは、Yo-Yo Ma、André Watts、Central Philharmonic of Chinaである。演奏したのがどこだったか忘れたがオペラも観た(「セビリアの理髪師」だった気がするが、よく覚えていない)。とにかく、Yo-Yo Maを観て聴いたというのは覚えている。それ以降も、どこかで聴いた、かもしれない。

そんなわけで、Yo-Yo MaのSACDがあると、つい買ってしまう。今回紹介するディスクはその中の1枚だ。

今回のディスクは、イタリアの偉大な作曲家であるエンニオ・モリコーネにレコード会社(ソニー・クラシカル)が、ヨー・ヨー・マの演奏で録音しないか、という話を持ちかけたものだ。モリコーネは「とても信じることができませんでした」と語っている。モリコーネは自分の曲を編曲して録音に臨んだ。

できあがった音は素晴らしい。スタジオ録音で、写真を見ると、ヨー・ヨー・マはヘッドホンをかけてブースで録音し、モリコーネもヘッドホンをかけて指揮をしている。オケの後ろの方にはシンセサイザー奏者がおり、「何の音なんだろう?」と思わせるものは、シンセサイザーであろうと見当が付く。

5.1チャンネルの方しか聴いていないが、とにかく、うねってからむ。空間が弦のうねりで満たされる。リスニングポイントから少し後ろの床に布団を敷いて寝転び天井を見上げると、目の前で音がからみあっている。録音の良さは、さすが欧州、と思う。サラウンドで音楽を聴く快感がある。

バイオリンとビオラとセロは、ビブラートについては最高の楽器だと思う。ビブラートが(左手の指の動きが)目で見えるので、奏者は初級のうちからビブラートのかけ方を学ぶし、複数で演奏する際はビブラートを合わせるということもする。

管楽器ではこうはいかない。最初にしつけられるのは、ビブラートなしで音をまっすぐ伸ばすことである。ビブラートは、どうしてもかかってしまうもの、であり、意図してかけるものではないとされる。もちろん、上級者はビブラートをうまくかけるのだが、唇の動きは金管ではまったく見えないし、木管でもそんなに見えるわけではないから、正直、秘儀のたぐいである。

あー、弦のビブラートって、うねりって素晴らしいなぁ、と思う。

また、弦楽器は、管楽器よりも弱音が出せるのがうらやましい。管楽器は振動が起きるしきい値がけっこう高いので、弦みたいな弱音は出ない。

私はシンセでストリングス音やパッド音を弾くのが好きなのだが、本物の弦のうねりは、やはり、夢のようである。このディスクの弦のうねりは逸品と言える。

エンニオ・モリコーネは著名な作曲家らしいが、私は今回のディスクに収録されている曲を聴いて、「あーこれか」ということはなかった。それでも、初めて聞いても、良い曲、良い音楽だと思う。元の映画を知らなくても楽しめる。

映画音楽は、映画を知っている人の感興を呼ぶ一方で、知らない人はぴんと来ないことが多いのだが、モリコーネの音楽は、音楽だけでも十分に語っている。

サラウンドの再生環境があるなら、ぜひ。

H2

2021年6月 2日 (水)

SACD: Fredy Kempf/Bergen Philiharmonic Orchestra/Andrew Litton「Rhapsody In Blue」

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SACD: Fredy Kempf/Bergen Philiharmonic Orchestra/Andrew Litton「Rhapsody In Blue」
BIS Records AB BIS-SACD-1940 2012年(録音は2011年)
SACD/CDハイブリッド、サラウンド5.0チャンネル/ステレオ2チャンネル
2021年5月にヤフオク!で購入。1200円

懐かしさ ★★★
楽曲 ★★★★
演奏 ★★★★★
録音 ★★★★★
購入満足度 ★★★★★

SACDなどの音楽ディスクを購入すると、家のプレーヤーにかけて再生して、意図したものを入手できたのかどうか確かめる。プレーヤーにSACDなどと表示され、マルチチャンネルのものがマルチチャンネルで再生されていることを確かめたらOKだ。通常はそこで再生をやめて、戸棚に置いてくることが多い。

このディスクは引き込まれて最後まで聴いてしまった。73分56秒あるディスクを、である。当たりのディスクと言える。

フレディ・ケンプは英国生まれのピアニストで、母親は日本人であるという。写真を見ると、確かに日本の血が入っているように思われる。現在は独ベルリン在住らしい。

ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団はノルウェーのベルゲンに本拠を置くオーケストラ。長い歴史を持つという。アンドルー・リットンは米国ニューヨーク生まれの指揮者で、2003年から2015年までベルゲン・フィルハーモニーの音楽監督兼首席指揮者を務めた。

このディスクは2011年にベルゲンのグリーグホール(Grieghallen)で録音された。ピアノはスタインウェイ。96kHz/24bitのPCMで録音され、サラウンドは5.0チャンネルに仕上げられている。

驚かされたのは音の良さだ。残響の質と量が絶妙。ダイナミックレンジも絶妙で、弱音が聞きづらいことがなく、強音はバシッと来る。ティンパニやオーケストラヒットがここまで気持ちよく鳴るディスクはちょっと記憶にない。

現在再生している環境は、プレーヤーがOppo BDP-103、そのアンバランス出力をローランドのミキサーFM-186に入れ、フロントがGenelec 1031A、センターが1029A。リアはフロアノイズが気になるなどの理由で、BehringerのMDX2000を介してBehringerのB3031A。今回は使っていないが、LFE(Low Frequency Effect)はDynaudio BM14Sである。

あー、サラウンドいいなあ、と思う。

PCM録音なので、DSD録音のものに比べると少しギザギザした感じがしなくもないが、それでもいい音。ガーシュインをこんないい音で聞けるなんて、感激である。

ガーシュインの音楽は、それほど真面目に聞いたことがあるわけではない。Hooked On Classicsというレコードが流行した時に、吹奏楽部で演奏し、その時にはそのレコードも借りてきて聴いた。ラプソディ・イン・ブルーが入っていた。

ただ、その後私はジャズ、フュージョンを志向していた時期があり、ジャズの開祖の一人と言えるガーシュインは、ずっと意識の中にはあった。

ジャズは、デキシーランド、ビッグバンド、コンボ、ビバップ、フリー、フュージョンなどと展開してきたわけだが、今改めてガーシュインを聞くと、私たちはみな、ガーシュインの手のひらの上で踊ってきたのかもしれないと思う。ガーシュインは偉大だ。I Got Rhythmがガーシュインの曲だったことは、今回初めて知った。

ガーシュインは米国を代表する作曲家の一人である。その後ジャズは大きく育ち、ヨーロッパでも人気を博し、アメリカ発の音楽を世界に印象付けた。ジャズはアメリカのクラシックとなりつつある。そのことは、ガーシュインの音楽を聞けば、自然なことであると理解できるのではないだろうか。

譜面に書いてあっても、ジャズはジャズである。

このディスクは、根を詰めて向かい合っても楽しめるし、BGMとして流しても楽しめる。5.0チャンネルの再生ができる方はぜひ聴いてみていただきたい。

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2021年5月18日 (火)

SonyのMDデッキ「MDS-PC2」を配線

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ソニーのMDデッキ「MDS-PC2」を配置して配線した。Genelec 1031Aの上というとんでもない場所に置いた。他に適当な場所がないのだ。オンキヨーのカセットデッキ「K-505FX」も置いたが、それはまだ鳴らしていない。

配線は、MDS-PC2アナログ出力→パッシブのセレクター→Roland FM-186→Genelec 1031A+Dynaudio BM12Sだ。音量を上げるとかなりの迫力である。

机の椅子に座った状態では、MDS-PC2のボタンはけっこう遠い。付属のリモコン「RM-D36M」も試してみた。ちゃんと動いた。

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ずいぶんと色あせて、文字が読みにくい。それでも、動いてくれるようなのが嬉しい。

2000年ごろ、借りてきたCDをMDにダビングしていた時期があった。そうしたMDを久しぶりにかけてみている。

MDはCDより音質が落ちるので、今思えばすべてWAV化した方がよかったかもしれないが、当時はHDDよりMDの方が安かった。MDの音も、そんなに悪いとは思わない。飽きが来るまでの時間が短いかなとは思うけれど。

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